2−2:レベルと称号と中谷さん
大鬼族か…。俺、大鬼族だったのかー…。人間じゃなかったとは驚きだ。いや…少なくとも、電車に乗るまでは人間だったハズだ。
電車に乗っただけで種族かわるとか、どんなイリュージョンだよ!!マジシャンもびっくりだろ!?
しかも…今の声どっから聞えた!?周りには誰も居なかったはずだ。いや、熊は居るんだけどさ…。
熊はさっきからガウガウしか言わないしな…。
ま…まさか…コイツっ…!脳内に直接…っ!?とかボケてる場合じゃなかった。
□□□
今、頭の中で響いた声は何だったのだろうか。
びっくりし過ぎて、飛び起きてしまったではないか。
おい、熊。そんな『え!?何こいつ急に…。変な人?』見たいな目で見るな。傷つくだろうが。
でも、そんな目で見てくるって事は、熊には今の声聞こえてなかったのか?
「なぁ、今何か言ったか?」
『いや?何急に。頭でも打ったの?』
ふぁっっ!!?
しゃべっ…!!?え!?
いや、ちがう!…熊はいつも通りガウガウ言っていた。それは耳で聞こえてた。言うなれば副音声?ガウガウ言うのに重なり、翻訳した文が頭に流れた感じだった。
え、いきなり熊語マスターしたの?俺って天才?
とか馬鹿な事言っている場合じゃないな。たぶん、さっき獲得した称号に秘密があると見た。
しかし、称号か…。なかなかゲームじみた感じになってきたじゃないか。いや、角生えた熊とかレベルとか、元々ファンタジーだったけどさ!
落ち着きを取り戻す為に、再度もふもふに埋もれる。ああ…やっぱり現実逃避には、毛皮に埋まるのが一番だ…。さぁ、このまま羊でも数えてゆっくり寝て…。
じゃないだろう!!!
今は現実逃避してる場合じゃないのだ。
さっき頭の中で流れたアナウンス?みたいなモノを思い出す。
“大鬼族:ナカタニ Lv:94が、迷宮115階層において、エリアボス【騎士虎】討伐に成功。大鬼族:ナカタニ が迷宮115階層の新エリアボスになります。それに伴い、称号を獲得。称号【挑戦者・諦めぬ者】【角大熊の親友】【武術の極】を獲得しました。”
うん。確かこんな感じだった。いや、ツッコミ所満載過ぎない?まず大鬼族て。俺、人間捨てた覚えないんだが?いつの間に種族変わったの?でも、知らぬ間に人間捨てていたのなら、虎を投げ飛ばせたのも不思議ではない…のか?
しかも、Lv94。
これは、虎を倒したから上がったレベルなのだろうか?それとも、元々これ位のレベルだったのだろうか?これは後で熊に聞いてみよう。今なら、熊語もわかるからな!!
そして、新事実発覚だ。どうやらここは迷宮の中らしい。115階層と言っていたが、何階まであるのだろうか?どこぞのアニメ設定を思い出す。
そうか…この青空は本物じゃなかったのか。
通りで、外にいる気がしないと思った。内部にいたのなら、その点は納得だ。
しかし、こんだけ綺麗な青空が広がっているのに室内とか、流石ファンタジーだな…。
更に、驚いた事に…新エリアボスになったようだ。
解せぬ。ただの不可抗力なのに…。熊にエリアボス譲れないかな?
そんな事思ってたら、頭の中で警告音が鳴り響く。
う…うるさ!ちょっ…いきなりそういうのやめてくれよ!ビビるじゃないか!
《エリアボスの ランク譲渡 はできません。》
お…おう…。
どうやら、エリアボスは移せないらしい。
てか、この頭の中で響く声はなんなんだろうか。もしかして、貰った称号補正?でも、そんな便利な感じの称号は貰ってなかった気がする。
まぁでも、疑問に思ったって助けてくれる訳でもないみたいだし…便利な事もあるもんだなぁ…。とか気楽に考えておけば良いのかな。
あとは…称号か。
正直、どんな効果があるのかもわからないんだよな。
でも、ひとつだけ。熊の言ってる事がわかるようになったのは、絶対称号のせいだと思う。さっきまで何言ってんのかわかんなかったし!
と、言うことは。この【挑戦者・諦めぬ者】と【武術の極】にも、称号補正みたいなものがあるはず!
くそう…。せめて、自分のステータスでも見れたら良かったのにな…。こんな、着の身着のままで迷宮に放り出されるとは思わなかった…。
あぁ…異世界ラノベのチート主人公達が羨ましい…。
とりあえず、熊に色々聞いてみるか…。
「なぁなぁ、俺のステータスって見えるか?レベルとか…名前とか。」
《生命状態 を 表示します。》
熊に問いかけたのだが、思わぬ所から解答がきた。
頭の中で声が響き、目の前に、バーチャルなウィンドウがポップしたのだ。
いや…ステータス見れんのかよ!!!
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