表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/19

1−2:ダンジョンだよ中谷さん

 記念すべき熊との邂逅(かいこう)から数秒。

 いや、何も記念はない。

 しいて言えば、初めて生で見たな〜位だわ!

 しかもこれ、極一般的(ごくいっぱんてき)な熊じゃないしね!?まだ熊の方が可愛いレベルだしね!?

 だって角あんじゃん!?

 俺の記憶が正しければ、一般的な熊には角なんぞ無かったはずだ!

 いや!はずじゃない!絶対ない!


 □□□


 (さいわ)い、目の前の熊は動こうとしない。

 木だと思ってくれているのであれば、とても嬉しいのだが…そうとも思えない。

 どう料理してやろうか…みたいな目で見るの止めてもらえませんかね?

 なぶり殺しとか勘弁してほしい所だ。

 ふと、熊の頭上に何か書かれている事に気がつく。


 (な…なんだあれ…?)


 熊の動きに注意しつつ、目を()らす。

 どれだけ目を凝らしても、ぼんやりとしか見えない。

 しっかり見えないって事は、あんまり重要な事じゃないんだろうか…?

 そのまま目を凝らしていると、見覚えのある文字の羅列(られつ)が見える…漢字と数字のようだ。

 漢字と数字があるって事は、言葉も通じるって事ではないだろうか!?

 良い発見をしたな!


 しかし、そんな発見をした所で現状が良い方向に転がる訳もなく…。

 だからなんだよ!って感じだ。

 そんなくだらない事を考えていたおかげで、少し心に余裕が出てきたようだ。

 今なら、体も動く気がするし、いい勝負もできるんじゃないかな!?

 再度、注意しつつ熊の方を伺う。


 『角大熊(ホーングリズリー) Lv:45』


 ━━あほかと。

 生死に関わるめちゃくちゃ重要な情報じゃねぇか!!

 何で訳のわからない場所来てすぐに、45レベルの熊と対峙(たいじ)してんだよ!

 前言撤回だよ!!

 こっちはただの人間、相手は強化されてる熊。(いわ)く、角大熊(ホーングリズリー)

 わかる?勝てないよね?

 しかもレベルって…。 


 「ゲームかよ!!!」


 思わずそう叫んでしまい失敗した。

 その声に反応するように、目の前の角大熊(ホーングリズリー)がゆらりと動き出したのだ。

 動きは緩慢(かんまん)で普通に目で追えるのだが、なんせでかい。

 俺の身長も2(メートル)近くはあり、普通の人に比べたらデカい方なのだ。その俺でも、見上げる位デカい。

 3(メートル)程の巨体が、大きく腕を振り上げる。

 鋭い爪が光る手で一閃…が、後ろに飛び退(のき)きなんとか(かわ)す。


 「ちょ…っ!ステイ!まっ…!!まてって!」

 「グルルァァァ!!」


 どうも、初撃を(かわ)した事で角大熊(ホーングリズリー)がイラついたらしく、恐ろしい咆哮(ほうこう)を放ってきた。

 1回攻撃が当たらなかった位でキレないでいただきたい…。

 こちとら、1回でも当たったら人生終了しそうなのだ。

 冷静に攻撃を見極めたいが、それどころではない。

 走って逃げるべきか迷う。走った所で、追いつかれるだけな気がするからだ。まぁ…逃がす気もないだろうが。

 あとは…死んだふり?

 いや、死んだふりしたところで、どうぞ召し上がれ☆って言っているようなものだし…。

 もう楽になりたいが、詳しい状況も(つか)めてない段階で諦められない。なんとかして撃退、(ある)いは逃げ延びたい。


 とりあえず、目を逸らさないままで、徐々に後ずさっていく。

 このまま逃げる事ができればいいが…無理だろうな。

 だってさ…何か、後からも聞こえちゃ駄目な音が聞こえてくるんだよね!こう…木々を薙ぎ倒すようなメキメキって音がさ。

 誰だよ!こんな、サファリパークみたいな場所に飛ばしやがったのは!もう処理し切れねぇよ!


 (てか……あれ?)


 ふと、角大熊(ホーングリズリー)が動かないのを不思議に思い、表情を盗み見る。

 ……何か…心なしか青褪(あおざ)めてるような気がするけど、気のせいだよね?ね?

 え?何?後から来てるやつはお前よりヤバいやつなのか!?そうなのか!?


 バキバキバキッ━━━


 物凄い近くで、木の倒れる音がした。

 正面を警戒しつつ、ゆっくりと体ごと振り向く。

 そこに居たのは、赤黒い毛並みをした虎だった。金色に光る、ネコ科特有の目。口から伸びる、バカでかい牙。そして、目の前にいた角大熊(ホーングリズリー)より大きい体躯(たいく)


 「…嘘だろオイ…。」


 思わず、小さく呟く。見た事もない大きさの虎に、額から汗が流れる。心臓が破裂な程高鳴っているのがわかる。

 これは熊もビビるわ。俺だってチビりそうだからな。

 しかも、そいつの頭上にも見覚えのある字が見える。

 ゆっくりと呼吸をしつつ、目を凝らす。


 『AB(エリアボス)騎士虎(ナイトタイガー) Lv:84』


 はい。

 詰みましたよこれは。

お読みいただきありがとうございます。

読みにくい等あれば、ご連絡いただけると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ