1章 異世界と召喚と
「ここは…森か?」
目を覚ましたそこは木に囲まれた空間だった。
「とりあえず召喚してみるかね」
妄想していた力を得て、早く召喚してみたいと思っていた。
煌が持っているSPは1000である。
「これはサービスじゃぞ」
と言い、 召喚魔法を与えられる際に神様がおまけしてくれたのだった。
「とりあえず意思疎通できるやつがいいなあ…」
現実では誰とも話さなくても平気だったが、異世界に来て話し相手がいないのは不安がある。
「やはり最初は1000SP使ってドラゴン召喚しちゃうか?」
煌はカードゲームではドラゴンが大好きであり、いつもドラゴンデッキを使っていた。
中でも東洋の龍が1番のお気に入りだった。
「よし、意思疎通できる龍にしよう!数は後からでもいいだろう」
最初に召喚するのは自分にも思い入れが強くなるだろうし、やはり好きなドラゴン、龍が良い。
「えっと、召喚魔法の発動は…と」
煌は神様に聞いていたように手を前に出し、頭の中で召喚したい龍の姿を思い浮かべる。
そして意思疎通できることや人に見つからないように透明化できることなど何個かの条件を考えながら
「召喚!!!!!」
と叫んだ。
すると魔法陣が地面に浮き出て、白い煙が立ち上った。
煙が晴れるとそこには煌の想像通りの龍がいた。
「主よ、我を召喚して頂き感謝する」
「うおおおおお!!!!本当に龍だ!!!!召喚できたんだ!!!!」
煌は龍の声が聞こえてないくらい喜びながらジタバタしている。
「やったぞおおおおおお!!!!神様、ありがとう……!」
喜びのあまり涙目になっている。
「主よ…」
龍は少し呆れたような表情だ。
5分程経ち、落ち着いた煌は龍が話そうとしていることに気がついた。
「俺は神崎 煌だ」
そう言うと龍は
「我はまだ名がない。まずは名付けてくれないだろうか?」
「お前はシャルだ!」
煌は一瞬でそう言った。
(昔からシャルって名前の龍と遊びたかったんだよなあ…)
「お、おう、わかった。これからはシャルと呼んでくれ」
シャルは若干引き気味に返事をした。
「よろしくな、シャル。俺のことは煌と呼んでくれ」
「主よ、呼び捨てにするのは…」
シャルはそう言うが、呼び捨てで呼び合う関係が憧れだった煌はそれを拒否した。
「主がそう言うなら……よろしく頼む、煌」