前編
淳史くんの日常を完結させたバージョンです。
「ピピピピピピ」
という目覚ましの音と
「あっちゃ〜ん朝よ〜起きなさ〜い」
という母親の声でいつものように目が覚めた
俺は母親を見て
「お母さんなんか言うこと無い?」
と言ってみたしかし
「別にないわね」
とあっさり言われた
「なら今日は何月何日?」
とまた聞いてみた
「2月14日だけど……あ!」
と思い出したようにいった。俺は期待した目で見てみると
「そういえばバレンタインだったね。親からチョコレートもらおうっていうの?」
と言われて絶対忘れてるなと思いおれはがっかりした。
そして学校に行った。
「バカね忘れるわけ無いじゃない。今年は最高になるでしょうね」
とがっかりした息子の背中を見て思った。
学校ならきっと……思っていたが現実は厳しかった。
「おう! おはよう平田」
と友達の大浦が声をかけた
「今日は何の日だ?」
と俺は聞いてみた
「何そんなこと聞いてんだよ。バレンタインだろ?」
こいつも忘れてると思ってがっかりした。
「なにがっかりしてんだよ男からもらおうってか?気持ちわりい」
俺の名前は平田淳史 高校1年生。実は今日2月14日、バレンタインデーは俺の誕生日なのだ。しかし忘れられている。
こうしていつものように授業が始まった。
1時間目 数学
俺の前の席の人たちが大きな声で話していた
「こらそこ!!」
とチョークがとんできた。
すると前の人が見事によけ俺に命中。
俺は一瞬意識がとんだ
3時間目 理科
「今日はアルコールランプの使い方だ」
ノートをとってるとジューという音がする。
なんだか焦げ臭い
俺をみてみんな騒ぎ出す
「平田君大丈夫?」
「なにが? ……あち、あち、あち、あち」
なんとおれの髪が燃えていたのだ。しかし幸いにもはたいて火を消し、髪が少し焦げただけだった。
そして昼休み
「お前今日ついてねえな」
「チョークは当たるわ、髪はこげるわ」
「ほんとだよ。しかも誕生日だと忘れられてるし」
とぼそっといった
「なんかいったか?」
「いや」
そんな低いテンションのまま今日のイベントの話になった。
「今んとこなんこもらった?」
と大浦ともう1人の友達下島と話していた
「俺15個。もうすでに去年の数になったな」
と大浦がいった
「いいな俺にも分けろよ」
「やっぱ大浦は格が違うな」
「下島は?」
「俺は0」
「お前はどうなんだよ?平田」
「俺も0だよ」
とさらにテンションが下がった
そのまま午後の授業へ
5時間目 体育
男子はハードルで女子はソフトボールである
おれが走っていると
「あぶな〜い」
と遠くで叫び声がが聞こえてきた
「え?」
と声の方向を向くとボールが俺のほうに向かってくる。ものの見事に俺に当たった。
「なんで今日は次々と……」
と気絶した。
気がつくと保健室にいた
「大丈夫か?」
「よかった気がついたんだ」
そこには大浦と下島がいた
「なんか今日ホントついてないな」
「なんかとりつかれたんじゃねえ?」
「不謹慎なこというな」
と大浦が下島に注意した。
「問題ないと思うけど一応病院いったほうがいいわね」
と保健の先生に言われ俺は保健室を後にした。
そしてチョコもプレゼントも貰えずに放課後になった。
「ゲーセン行こうぜ。大浦、下島? クラッシュオブファイター4が入ったんだ」
と誘ったのだが
「すまんこれから用事あるんだ」
と大浦に断られ
「俺も今金ねぇ〜からパスとしとくわ」
とゲーム好きの下島にも断られた
結局一人でゲーセンにいくことにした
そして校門で
「すいません!!」
と突然俺の前に女の子が現れた
(うん?なんだ)
「あのこれ!!」
(よっしゃー!! 今日初めてのプレゼントか? もしかして春が来るかも)
と思う俺。
だが
「あの……これ大浦くんに渡してください!!」
(だよなぁ〜こうくるよな)
「うん、わかった」
と笑顔で返す俺。
そして魂がぬけたように歩いていく
「あぁ……この状態をクラッシュオブファイターで晴らせるかな……」
「ちょっと大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫だよ」
気にする女の子。
ゲーセンに到着
さっそくクラッシュオブファイター4をやってみる
「新キャラのアルタイルまである」
「よし!! 今日のうっぷんをはらすぞ!!!」
気合満天でコンピューターと戦っていた。するといきなり
乱入者が。そしてその人と戦うことになった。
「うわ、うわ、うわ You lose」
とあっさり負けてしまった俺。挑発する対戦相手。
お札を一気に小銭に代えいざ対戦!
「YOU Lose」
「YOU Lose」
「YOU Lose」
どんどん小銭が無くなっていく。
「まだまだ」
と小銭をつぎこむ
「YOU Lose」
「YOU lose」
「YOU lose」
「くそ〜まだまだ」
とゲームの小銭を手探りで探す淳史。無いことに気づき財布を見てみる。
中身はからだった。
がっかりする俺。
「おい、おい! 兄ちゃん弱すぎるにもほどがあるよ。よくこんなんでゲーセンきてるな?金をどぶに捨てるようなもんだ。あきらめずに立ち向かってくるのはかってやるけど。じゃあな。少しは強くなっとけよ」
「あぁ……金欠だ。これでマンガが買えなくなった。」
(だいたいなんで今日に限ってこうついてないのかな。結局プレゼントもチョコレートも貰えなかったし)
気落ちして帰っていると、
ブーン……というトラックの音がしたのは家の隣だった
「今頃引越しか? 珍しいなこんな時期に」
と思いながら家に帰った
母親に聞いてみるとどうやら誰かが引っ越してくるらしい。
母親は、誰がくるんだろうね?とわざとらしい口調だった。
おれは部屋に戻って着替えているとチャイムがなった。すると下から
「いま風呂掃除してて手が離せないの。ちょっとでてくんない?」
といわれしぶしぶ玄関のドアを開けると
「あっちゃん久しぶり〜」
とめちゃめちゃ見覚えあるやつが飛びついてきた。