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それぞれの旅路

「…………そうですか。そんな事が…………」


マコトとイリスはナチューロに戻るとそのままコルツにあったことを話た。

勿論、イリスの事やカタラとの関係などは伏せておいてある。

リブレは一旦下にいてもらっていた。


「ええ、結局黒幕には会えましたが正体までは…………」

「なるほど……」


マコト達の報告にコルツはデスクに座りながら何かを考え込んでいるような様子だった。


「でも、もうこの間みたいなことにはならないと思います。」

「そうですか…………分かりました。依頼ご苦労様でした。」


二人に労を労う詞をかけたコルツはやっと目を開けて少し笑顔を見せた。


「いえ、すみません。正体まで掴めなくて。」

「いえ、相手は中々の実力者のようです。帰ってきてくれただけでも嬉しい。私の方でも少しずつですが調べましょう。何か分かったら情報提供しますよ。」

「ありがとうございます。お願いします。」

「お願いします。」


デスクから立ち上がり提案するコルツにマコトたちはありがたくお願いしてコルツと握手を交わした。


「それで?これから二人はどうするつもりですか?」

「………王都に向かおうと思います。」

「王都?」

「ええ、ちょっと調べたい事がありまして。」


二人は王都へ行ってイリスの父であるヴェスタ=ロイスについて調べる事にしていた。

城に行って調べればカタラについてヒントがあるかもしれないと考えだのだ。

勿論その事はコルツには伏せた。


「そうですか…………良い情報があるといいですね。」

「ええ。そうですね。」


イリスはコルツの言葉にニコッと笑顔で答えた。


「では、少ないですが日銭の足しにしてください。」

「ありがとうございます。」


コルツは依頼料をイリスには手渡した。

中身はヴェスタ金貨一枚と銀貨が数枚だった。

これはかなり多い部類だった。


「こんなに…………良いんですか?」


イリスは驚きを隠せなかった。

しかし、コルツは驚くイリスを諭しすように言った。


「ええ、使って下さい。あなた方には必要だ。」

「…………はい。」


そう言われイリスは大人しく貰った依頼料をしまった。


「では、私達はこれで。ありがとうございました。」

「…………幸運を、祈っております。」


コルツにそう言われてイリスとマコトは頭を深々下げてコルツの部屋を出た。

外ではリブレが待っていた。

リブレとはここで依頼も終わったのでお別れだった。

リブレはわざわざ二人を待っていたのだ。


「あ。二人とも。やっと戻ってきた。」

「リブレ。まだいたのか?」

「あっ!そういうこと言うの。ひでーな。お兄さん。」

「あはははは。」


マコトのわざとらしいボケにリブレが馬車の上からツッコミをいれた。


「出るのか?」

「うん。もう終わったんだろ?出る前に二人の顔を見ておこうと思って。」


リブレは行商人でありこれ以上二人のごたごたに巻き込むわけにはいかなかった。

だから、リブレには依頼が終わったので報告が終わり次第、次の村へ向かうと言ってあった。


「次は何処行くんだ?やっぱり王都か?」

「うん。まあな。途中の村に寄りながらのんびり行くさ。」

「そうね。依頼料も結構貰ったし。」


リブレに心配をかけさせないようにマコトは精一杯背伸びした言葉を選んだ。

イリスも右に同じくと喋った。


「実はあたしも……その…………王都の方に……」

「リブレはさ、行商人なんだろ。俺達がいたら商売も上手く出来ないだろ?」


リブレが二人に着いてきたがっていたのは帰る途中からなんとなく気が付いていた。

リブレの提案は彼女が言う前にかき消された。


「で、でもあたしも……あたしも……」

「気持ちは嬉しいよ。でもこれは永遠の別れじゃない。また、いつか会えるさ。」

「…………」


マコトの言葉にリブレは一瞬何か言いたそうな顔をしたが、下を向いてはあと大きなため息をついた。

そしてその後にリブレは目一杯の笑顔を見せた。


「折角あたしが助けてやろうって優しさを見せたのにお兄さん損したなあ。こんな幸運もうないよ!」

「そりゃ残念だな。運には恵まれてるはずなんだけど。」

「本当だよ。お兄さんは全く…………もう頼まれても助けてやんないからな。じゃあな。お姉さんもね。」

「うん。じゃあね。」


リブレはそう言うと手綱を力強く二回パンパンと打ち付け馬車で行ってしまった。

リブレはこちらを振り返ることはなかった。

イリスとマコトはリブレが門を出るまで見送った。


「ふう、行っちゃったね。」

「そうだね。やっぱり怒ってたな。」


マコトの言葉を聞いてイリスはやれやれとため息をついた。


「…………マコト。まあ、いいか。」

「ん?何だよ?」

「……教えない。」

「?」


イリスは何か言おうとしたがやめてしまった。

マコトにはイリスが少し拗ねたようにも見えた。

だがマコトは気になって聞いてもその後も答えてはくれなかった。


「さ。私達も行きましょう。」

「ったく、何だったんだ?……じゃあ、行くか。次の村へ。」


イリスが切り替えるように言うとマコトは最初は不満を漏らしたが心を新たにイリスには合わせた。

二人はナチューロを出て王都のある南へと歩みを進めたのだった。

予定通り一章終了です。


最初から読んでくれた方々ありがとうございます。


二章は明後日からまた始める予定です。

良かったらまたよろしくお願いします。

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