別れ
あるとても寒い冬の日の夜
赤子をタオルに包み、辛そうに歩いている母親がいました
赤子が泣くのを優しそうにあやしながら目的地に急ぎました
お腹がすき、手足がかじかみ、意識が朦朧としていく中、なんとか目的地につきました
そこは、幼馴染の家でした
かじかむ手に力をいれドアをノックしました
「こんな時間に誰だい?」
(よかった!いてくれた!)
母親は興奮しながら、
「私よ!お願い!開けて頂戴!」
そのドアがゆっくり開きながら
「あんたかい、なんだいそのカッコは、早く入りな」
母親は暖炉の近くに呼ばれ、温かいスープをもらい、少しづつ体があったまってきました
そして幼馴染から
「どうしたんだい?そんなに慌てて…赤ちゃんもこんなに痩せちゃって、ちゃんと食べさせてるのかい?」
そう言われると母親は肩から力が抜け
「もうそんなお金が残ってないの…今日はお願いがあってきたの」
「いくらあんたでもお金はかせないよ」
「お金はいらない…お願い…この子を引き取って欲しいの…」
そういうと赤子を置き、まっすぐ幼馴染を見つめました
「なにいってんだい!あんた達の…ってそうか旦那はこの前の…」
「…もう稼ぎがないのよ…私一人ならなんとかする…だけどこの子の分もってなると…」
母親は力が抜け、赤子をさみしそうな目で見つめていました
「はぁ…事情が事情だからね……わかったよ…その子はうちで引き取るよ」
「ありがとう!!」
「そのかわり、今後この子とあっても母親だって言っちゃダメだよ!この子が辛い思いをするからね!」
母親は涙を流しながし、最後の別れとなるであろう我が子をしっかりと抱きしめながら
「えぇ…わかったわ…この子のことをお願いします」
そういうと今度は一人で来た道を戻っていきました…