旅の道中③
またしばらく歩いてる、特に周りには何もない。
たまに馬車が通ったり人が通ったりしてるけども何かあるわけでもない。
まあ、トラブルとかない方がいいんだけど。
魔物もまだこの世界に来てから最初しか見たことないからどんなのかもわからないしね。
「街から出るとすぐに魔物に出会うかと思ってたよ」
「魔物には縄張りがあるからな、あまり縄張りから出ない魔物とかもいる。 縄張り争いに負けて出てくる魔物も居るが」
最初は森の中スタートだったから魔物が居たのね。
あの姫様御一行が何故森の中に居たのかはわからないけど。
あの時はテンプレだからって流してたし。
「まあ、会いたくはないから出て欲しくない」
「アヤミは戦うのが嫌いみたいだからな」
「私の故郷は平和だったの。 武器だって持ったことなかったし」
「遠い国なのか?」
……遠くはあるね、別世界だし
クロスに別世界って言っても訳分からないだろうから誤魔化すしかない。
日本なら神様に会ったなんて言ったら痛い子扱いだよ。
旅初めてって言っちゃったから誤魔化されてくれるかわからないけども。
「すっごい遠い、……もう二度と帰れないんだよ」
私が決めた私の人生だから後悔はしない。
天国に行って転生を待てばよかったのに、私はこの世界に帰って来たんだ。
みんなが好きだから。
だから、リーフィとキースの事は納得してない。
帝国に行って、会ったら絶対文句言ってやるんだから。
……それで、納得出来る理由なら仕方ない。
私が本当は嫌いだったとしても、スパイだから嘘をついていたとしてもリーフィとキースの人生は二人が決めること。
だけど、もし脅されてとか、二人が望んでしたことではなかったのなら私は二人を助けたい。
独り善がりだろうがお節介だろうが、私がやりたいからやるんだ。
「アヤ姉、僕はずっとアヤ姉と一緒にいるよ。 アヤ姉が僕を家族だって言ってくれたから……アヤ姉は僕のお姉ちゃんだもん」
アルフの手がぎゅっと私の手を握り締める。
……アルフは両親が殺されるとこも見てしまったもんね。
私がアルフを見つけなければアルフもどうなっていたかわからない。
子供一人で生きていけるほどこの世界も甘くはないだろう。
「故郷に帰れなくても私には大切な家族が、アルフが居るから寂しくないよ」
「両想いだねー!」
にこにこと笑顔のアルフが可愛い。
この世界でいつまで生きていられるかわからないけど、アルフがお嫁さんを連れてくるまでは生きていたいな。
ああ、でもやっぱアルフの可愛い子供も見たいから死ねないや。