帝国へ④
「アヤ姉、おかえりなさい!」
私が家に帰るとアルフはにこにこと笑顔で私を迎えてくれた。
お節介だとは思うけど、やっぱり私は納得出来ないから。
「アルフ、しばらく旅に出ようと思ってるんだけど一緒に行く?」
「どこに行くの?」
「リーフィとキースに会いに行こうと思ってね」
二人がスパイだったとしても何か理由があるのかもしれない。
帰る前に見せたリーフィの悲しげな表情が私は気になる。
他国に行くんだから死ぬ可能性だってあるかもしれない。
二人も私が行くのを望んでないのかもしれない。
これは私のワガママだ。
「うん、アヤ姉が行くなら僕も行くよ」
「ありがとう」
アルフだけは何があっても私が守る。
まあ、守られるのは私の方かもしれないけどね。
「クロス兄は行かないの?」
「んー、クロスにはクロスのやることがあるだろうから行けないと思うよ」
だって、最強主人公であるクロスなら絶対帝だろうし。
帝であるクロスが自国から離れて敵国に行くなんて無理でしょう。
転移してきてからずっと街に居たから旅なんて出来るかわからないけど、旅の為の道具だけはしっかり用意しとこう。
鞄に入れておけば腐らないからたくさん持ち運び出来るからね。
帝国がどこにあるかもわかんないから図書館にも行って地図も調べないといけないし。
やることはいっぱいだからお店は今日から休業して準備をしよう。
「じゃあ、一緒に買い物行こうか」
「うん!」
もう今からだと図書館に行ってもあまり長く調べられないだろうし、明日朝から図書館に行くことにするかな。
今日は食材とか旅用の調理器具とか買おう。
店舗のドアに休業の木板(長い間空けるだろうし、紙では飛ばされるかもしれないしね)を貼ればアルフの手を握り、お店回りをする為に歩き出した。