乙女の嫉妬は鬱陶しい④
「私は戦闘ギルドには入ってないからよくわからないけどね。 みんなは入ってるの?」
「はい、授業でギルドの依頼を受ける時がありますのでみんな持ってます。 学生ギルドカードですが」
「学生ギルドカード?」
何だろう、それ。
そのままの意味で学生が持つギルドカードだから学生ギルドカードなのだろうか。
「昔、ある貴族の子が権力を笠にして力に見合ってない高いランクの依頼を受けて死亡した事があったんすよ。 それで、学生の内はそんな事が二度と起きないように学生ギルドカードが作られたんす」
「……学生ギルドカードの人は例え貴族だったとしても自身の力に見合ったランクしか受けられないんです。 CランクならCランクまで、BランクならBランクまで」
へぇ、そうなんだ。
確かに高いランクの方が貰える額とかも高いらしいけど、死ぬ確率があるのに高い依頼受ける意味がわからない。
相当自信があったのかただの馬鹿なのか。
「学園を卒業すれば学生ギルドカードから普通のギルドカードに変えられるのです。 普通のギルドカードになれば自己責任で依頼を受けます」
「えー、つまり死んでもギルドは責任取らないよ、みたいな?」
「ギルドに入るのは基本的に学園を卒業した人たちっすからね。 勉強したのにそれでも自分の力を過信しすぎて死ぬなら自業自得」
へぇ、結構厳しいんだね。
やっぱり私には合わないかも。
「でも、最近のギルドはあんま良い噂聞かないよな?」
「依頼破棄するギルド員が増えてるみたいですからね」
戦闘ギルドには行かないからわかんないけどなんでだろう?
確か依頼破棄したらいけないんだよね?
「依頼破棄?」
「はい、何でも依頼内容と違う魔物が現れたり数が違ったり色々と捜査不足な事があるみたいで」
「依頼破棄をしたら違約金を払わねばならないのですが、捜査不足なのはギルドの責任ですからね」
それは困るね。
アルフにも気をつけるように言っておかないと。
アルフが死んでしまったら私絶対泣く。
知り合った人が死んでしまうのも悲しいけど。
「前のギルドマスターの時はそんな事絶対なかったんだけどなー」
「シルクくん、そんな事言っちゃ駄目だよっ」
「そうですよ、ギルドマスターのファンの方にでも聞かれたら面倒です。 あのギルドマスターなら決闘を挑んでくるか、もしかしたら不敬罪で捕まるかもしれませんよ」
えっ?
ギルドマスターってそんなに偉い人なわけ??
私結構嫌われてるんだけど……。
捕まらないかな?
「ギルドマスターって偉いの?」
「一応王子っすからねー」
えっ!!!
つまり、商マスターも王子様なわけだよね?
「第二王妃の子供ですので王位継承順位は低いのですが、実力はありますからね」
「特にジル様はあまり表には出てきて下されないけど実力は王族一なんです」
「俺らの様な亜種にも優しくしてくれるんで亜種からの人気も壮大っす! だから、ジル様に王になってもらいたいんだけどなぁ」
話にしか聞いたことないけどマスター達のお兄さんは凄い人なんだなぁ。
あっ、でももしかしたら店に来たことあるかもしれない。
顔は知らないけどたまに覆面調査員として来てるらしいし。