初めての学園⑪
「ファレスさんってリトリスさんと付き合ってるんっすか?」
食器を綺麗に洗っていきながらもいきなり聞かれた疑問に苦笑いする。
私とクロスが付き合うわけないよ、釣り合わないしね。
「付き合ってないですよ。 友達です」
てか、最初にクロスとは友達だって言ったはずなんだけどな。
今は恋愛とかしてる暇ないし。
むしろ、彼氏出来たことないから恋愛ってよくわかんないんだよねー。
「でも、仲良いっすよね?」
「店の常連であり、私の弟の師匠でもありますから」
しょぼんとしたようなクロスが見えるけど変に期待を持たせるのは嫌だからね。
それに多分年齢が離れてるでしょ、クロスが何歳か知らないけど。
それにこの世界の人間じゃない私が誰かと付き合ったり、結婚したりするのは無理でしょ。
出身地不明の怪しい人物じゃん。
「へぇー」
「シルク、そんなに聞いたら失礼ですよ。 貴方は女性の気持ちがわからないんですから」
「ベルモントは女にモテるもんな」
「貴方も男性にモテるでしょう」
バチバチと火花が散ってるかのように睨み合う二人は仲が良いのか悪いのか。
そんな二人にオロオロしてるラインベルトさんが可愛い。
「シッ、シルクくんっ、ベルちゃんっ、喧嘩なんかしちゃ駄目だよっ! ……確かにシルクくんは男の人に襲われた事があったり告白されたりしたし、ベルちゃんも女の子達から王子様って言われてるけどっ」
ラインベルトさんの言葉にアイランくんもセオルさんも黙ってしまう。
嫌味とかじゃなくて本気で言ってるから何も言えないんだね。
本人は黙ってしまった二人にきょとんとしてるけど。
「ごちそうさま。 アヤミ、学園が終わればまたシフォンへ行く」
「もう行くの?」
「もう少しで授業が始まるからな」
クロスの言葉に三人は時計を見れば三人は慌てていた。
時間のこと気にしてなかったのかな。
「あーっ、私たちも早く行かなきゃ遅刻しちゃうよ!」
「次の授業何だっけっ?」
「次はレイジー先生の歴史の授業ですっ」
三人は『ごちそうさまです』と手を合わせれば食器を片付けようと立ち上がる。
「私が片付けておきますので授業へどうぞ」
「ありがとうございます! 行くぞ!」
私に頭を下げた三人はバタバタと走りながら食堂を出て行った。
勉強は嫌いだけど学校って感じで楽しそうだなー。