初めての学園⑧
他の二人も食品サンプルを興味津々に見ている。
クロスは私の店に来たことあるから結構見たことあるだろうけど、店に出してるメニューってオムライスくらいだよね。
「味見してみます?」
どうせ一人じゃ作れないんだから味見ついでに作り方を教えてたらいいしね。
二人に配膳してもらって、三人で作れば回転早いだろうし。
「いいんっすか!? 初めて見るもんばっかだからちょっと気になってたんすよねー」
アイランくんの犬耳がぴくぴくとしているのが可愛い。
うん、やっぱりけもみみは可愛いよね。
こんな可愛いけもみみの子たちを差別するなんて酷い話よ。
「作り方を教えますね」
私は集まってきた三人とクロスに一から作り方を教えてながらも実践してみせた。
ラインベルトさんとセオルさんは嬉しそうに目を煌めかせながらもメモを取り真剣に聞いている。
アイランくんは難しそうな顔をしながらも少しずつ理解しようとしてるみたい。
作り方の説明が終われば各自にオムライスを作ってもらう。
キチンと一から作るのはオムライスぐらいだしね。
ラインベルトさんもセオルさんも戸惑いながらも綺麗にオムライスが出来てる、アイランくんはちょっとぐちゃぐちゃになったけどそれ以外は出来た。
ただ……クロスは接客の方をやらせましょう。
最強主人公って料理上手い人ばかり書かれてたけど、現実と小説は違うのね。
何で玉子すら焦げるの?
「このケチャップってのは何で出来てるのですか?」
「とても美味しいです」
リファイアはソースやケチャップやマヨネーズとかの調味料はないらしいからね。
味噌もなくて基本的にある調味料は塩や砂糖ぐらいらしい。
調味料の大体の作り方は勉強をしてたから知ってるし、頑張って作ってみたよ
「ケチャップは基本的にはトマリを原料に作ってるんですよ。 キノコや魚とかも原料にしたのもあるんです」
「ファレスさんって博識なんですね」
「普通ですよ」
調味料の作り方の本とか見たことあるからね。
こっちはコピー機とかないから造本する時は手書きらしいし、料理も地球よりそんなに多くないみたいだし。
だから、そんなキラキラした瞳で私を見ないで、クロス。
そんな目で見られるような事じゃないから。
「他の作り方も教えますね」
まあ、うどんやパスタは茹で時間を気をつければいいだけだけどね。
カレーも親子丼もご飯の上からかけるだけにするようにしてるし。
全部の味見が終わる時間になれば段々と食堂に生徒が入ってきた。
接客係はアイランくんとクロスに任せて、私はラインベルトさんとセオルさんと準備を始めた。