初めての学園⑦
「ファレスさんって変わってるっすねー。 亜種ってだけど冷たくされたり、店で食事や買いもんが出来ない所もあるんすよ」
差別みたいな感じかな。
こんなに可愛いけもみみなのに嫌うなんて私からしたら有り得ないんだけど。
「ただの常識知らずですから。 それより、早く準備してしまいましょう」
いつまでも喋っていたら昼に間に合わなくなるかもしれないし。
「「「はい」」」
私の言葉に三人は大きな返事をした。
年下って可愛いからいいよねー、もちろん恋愛的な感じはないよ。
「俺も手伝う」
移転してきたのかいつの間にか厨房の中に居たクロスにビックリする。
「ありがとう、クロス」
「クロス・リストルさん!?」
先ほどとは違う意味で驚いてる三人に私は首を傾げる。
クロスのこと知っているのだろうか?
「嘘……ファレスさんはリストルさんの知り合いなんですか?」
「まあ、私の店の常連さんですから」
「リストルさんと知り合いなんて凄いです!」
最強主人公だから強いのはわかってたけどここまで言われる程だったんだ。
ああ、ラインベルトさんの猫耳がぴくぴくしてて可愛い。
「クロスは学校で凄いのかもしれないですけど……私にとっては友達ですからね」
最初はあまり好きになれそうになかったけど、乙女化してからちょっと可愛く見えてきたし。
まあ、たまにストーカーするのは止めて欲しいけどね。
友達や知り合いとして好かれるのは嬉しいけど恋愛する気はないから答えられないし。
……私の友達宣言でクロスがちょっとしょんぼりしてるのがわかるけど、変に気を持たせたらいけないでしょ。
クロスはまだまだ若いんだから私みたいなぽっちゃりじゃなくて可愛い子の方がいいだろうし。
「……そう言えば、これは何なんすか?」
先ほどから気になっていたのか食品サンプルを入れているケースをつんつんと指でつついてる、アイランくん。
「これは食品サンプルって言いまして。 名前ではどんな料理かわからないですから一目でどんな料理かわかるように作ったんですよ」
「食べれるんっすか?」
「これは食べれないですよ」
確かに本職で食品サンプルを作る人たちなら本当に食べれそうなくらいの食品サンプルを作るって聞いた事あるけど。
まあ、食べれそうであって食べれないんだけどね。
「素晴らしい技術ですね。 本物に見えます」
「……食品サンプル……初めて見ました」