初めての学園⑤
「そうなんですね」
他の生徒の前だったらクールなクロスが見れるかもしれないね。
私が隠れた所ですぐに見つかると思うけど。
「では、食堂に行きましょうか~」
「はい、お願いします」
にこにこと笑みを浮かべているバーン先生がまた歩き出せば私もついて行く。
……何故かクロスまでついて来てるけど。
「……クロス、授業は?」
「まだ休憩時間だから大丈夫だ」
うん、もう何も言うまい。
授業が始まったら勝手に教室に戻るだろうし、別に居ても問題はないからね。
ちょっと見られている気がするけど気のせいと言うことにしておく。
多分、クロスが私の隣を歩いてるからだと思うし。
クロスに幻覚の尻尾が見えた時点で動物好きな私がクロスに冷たく当たれるわけがない。
犬とか本当に可愛すぎるぐらい可愛いし。
店が飲食店だからペット買えないんだよね……。
「ここが食堂です~」
色々考えながら歩いていると食堂についたのかにっこりと笑みを浮かべたバーン先生が目の前に居た。
学園の大きさに負けないくらい食堂も大きい。
……今更大丈夫か不安になってきた。
一応すぐに作れそうな料理のメニューは作ってきたけどさ。
バイトって何人居るんだろ。
「アヤミ、俺も手伝うから大丈夫だ」
「クロスもバイトしてるの?」
「いや、ただアヤミの手伝いをしたいだけだ」
クロスって料理出来るの?
あー、でも小説の最強主人公って結構料理得意な人多いしね。
クロスが自分から言ってくるんなら大丈夫でしょ。
「では~、私はここで失礼します」
「ありがとうございました」
バーン先生にも仕事があるだろうし、ここまで案内してくれたんだからちゃんとお礼言わなきゃね。
バーン先生は笑みを浮かべたままも食堂から出て行った。
「クロスはまだ大丈夫なの?」
「……そろそろだな」
いや、そろそろじゃないから。
「授業はちゃんと受けなきゃ。 また昼に来てもいいからね」
「……わかった」
クロスに尻尾があったら垂れてるだろうと思いながらもクロスは一瞬にして消える。
あれが転移ってやつ?
便利そうだし、私もあれだったら覚えたいかも。
「よし、頑張るか」
この日の為にちゃんと食品サンプルも作ってきたんだからね。
多分、ほとんどわからない人が多いだろうからちゃんと説明書きしとかなきゃ。




