誘拐事件発生⑥
今の会話って大事なようで大事じゃないような……。
結婚してて子供が出来てない冷めた夫婦関係を送ってる女の人が黒幕って事?
しかも、お金渡すって事は貴族以上じゃないと無理だろうし結構黒幕はわかりやすいんじゃない。
男達が誰も居なくなったのを確認すればドアを開けて中に入る。
どこにアルフが居るかわからないのでとりあえず歩き出した。
迷った時の私の勘は凄いんだぞ。
RPGなんかいつも迷ってるけど結構すぐにボスの所に辿り着くんだから。
しばらく歩いていればまた微かに声が聞こえてきた。
先ほどの男達とは違い複数で弱々しい声。
また誘拐犯の誰かが居るかもしれないのでそっと覗く。
「大丈夫だよ。 泣かないで?」
そこにはアルフが自分より小さい子を慰めてる姿があった。
牢屋(?)がいくつかあって子供達が閉じ込められてるみたい。
誘拐犯が誰も居ないのを確認すれば私は真っ先にアルフの所に行く。
「アルフ、大丈夫?」
「アヤ姉っ!」
私の姿を確認したアルフは花のような可愛らしい笑顔を浮かべている。
やっぱりアルフは可愛い。
他の子達も私に気付いたのか助けを求めてる。
「ちょっと静かにしてて」
辺りを見回すもやっぱり鍵は持ち歩いているのか何もなかった。
やったことないけど創造で鍵作れないかな……。
こんな事なら創造も慣れておけばよかったと後悔中。
妄想……じゃなかった想像するのは得意だからいけるかもしれない。
鍵穴をじっくり眺めながらどんな鍵の形をしているのかを頭の中で考える。
想像を維持しなきゃいけないから結構難しいかも。
想像出来れば今度は手の上にるようなイメージをする。
多分、こんな感じだと思う。
じっと手を見つめて念じていればぽっと小さく光り手の中に鍵が出来た。
この能力があれば泥棒なんて簡単に出来ると思う、犯罪を犯すなんて絶対にしないけど。
鍵穴に鍵を差し込み回せば鍵は開いた。
ドアが開けば泣いていた子供達も嬉しそうにしてる。
けど、気付かれるからあまり騒がないで欲しい。
「アヤ姉っ!」
小さな子を慰めていたアルフがパタパタ駆け寄ってきて私に抱き付く。
いくら強くなったからってアルフは私が守らなきゃいけないんだ。
ぎゅっと抱き締めてやりながらも優しく頭を撫でててやる。
「アヤ姉、これ外せる?」
不安そうなアルフに問い掛けられよく見ればアルフの首には首輪があった。
いや、アルフだけではなく私をじっと見つめてる子供達にも首輪が……。
「これは?」
「これつけられちゃって魔法が出なくなっちゃったの」
奴隷が反発しないように魔力を吸い取る首輪みたいな物かな?
鍵穴がないから鍵はつくれないし……。
「ごめんね、わからないから一緒に居たクロスに聞くよ。 クロスなら知ってると思うし」