誘拐事件発生③
「アヤミ、どうかしたのか?」
何分放心してたのかわからないけどいつの間にかクロスが目の前に居た。
……うん、クロスの魔力はわかるし私がおかしくなったわけではない。
じゃあ、アルフの方に問題が起きたの?
「アルフが散歩に行ったまま帰って来ないのっ」
もしかしたらクロスならわかるかもしれない。
アルフが心配な私は勢いよくクロスの肩を掴んで訴えた。
「いつ頃出掛けたんだ?」
「多分2時間以上前……」
探知能力で魔力が見当たらないなんて初めて……アルフは大丈夫なの?
「俺も探してみる。 アヤミは家で待っていろ」
「嫌っ! じっと家で待ってる事なんて出来ない……アルフの魔力が感じられないから心配なの……」
子供を誘拐された親ってこんな気持ちだったのかな…………誘拐?
「ねぇ、キースさんが言ってたんだけど最近物騒な事件があるって?」
「ああ? ギルドマスターから聞いた話によれば最近子供が行方不明に……」
やっぱりっ!
アルフは誘拐されちゃったのかも知れない。
散歩なんかさせなければよかったのに私のせいだ……。
「心配するな。 アルフォレッドは無傷で助けてやる」
クロス……。
「俺はギルドに行って新しい情報がないか聞いてくる。 アヤミは近くを探してみろ、もしかしたら怪我をして動けないだけかもしれない」
「わかった、何かわかったらすぐに教えて」
探知能力が駄目になれば私は何も出来ない。
物を出すか作るかしか出来ないもの。
クロスが一瞬で居なくなれば私はアルフを見かけてないか聞くために人通りが多い場所に向かう。
順調に聞き込みをしていればアルフはここを通ったみたい。
いつも野菜を買っている店のおばちゃんに聞けばアルフと少し喋ってから別れたって言ってたし。
闇雲に探しても見つからないからアルフが通ったであろう道を通りながら聞き込みを続けた。
向かった方角はちょいちょいわかるけど肝心のアルフの姿が全然見つけられない。
「あれ?」
何度目か探知能力も試していたけど何もなかったのに、ほんの少し反応があった。
何で今頃?
気絶してたのかな?
でも、まだ反応は薄いし……。
よくわからないけど反応がある今の内に行かなきゃまたわからなくなっちゃうかもしれない。
私は反応がある方角に向かった。