経営者会議なう⑨
「もちろん」
異世界ってめんどくさい。
元の世界でも確かに権力云々はあったけど普通の喫茶店に対してここまで蹴落とそうとする事はなかったよ。
だけど、ここで引き下がるのはムカつく。
「それなら心配はいらない。 ファレスが更新に来れなかっただけで店ランクはCに上がっている」
そう言えばウィルさんが更新しに来てって言ってたような……。
アーバイルさんの事があってすっかり忘れてたけど。
FからCに上がってたんだね。
文句(?)を言ってた店長さん達は驚愕に目を見開いている。
どうかしたんだろうか?
「まだ半年ぐらいしか経っていないのにCになるなんて有り得ない!」
「ギルドは不正を許すんですかっ!」
不正してないし(法律がわからないから多分だけど)
戦マスターならまだわかるけど商マスターが不正を許すわけないでしょ。
不正を見逃さない為に双子マスターのお兄さんだって居るのに。
何年も働いていてそれがわかんないの?
私が文句言える立場じゃないから何も言わないけど。
「不正はない」
商マスターは堂々としてるなぁ。
私なら間違ってなくてもああは言えないだろうし、尊敬する。
まあ、店長になったんだから言えるようにならなきゃいけないけど。
「……私が不正してるって証拠があって言ってるんですか?」
「今は君みたいな若者が発言していい場ではないっ」
若者だからって店長に変わりはない(神様(?)に頼んで店をもらったんだけど)
不正してるって言い掛かりをつけられて黙っていろと?
こっち来てまだ半年ちょいしか経ってないからランクがどう変わるのかはさっぱりわからないけども。
ただの僻みで黙っているつもりはない。
とりあえず、ギロリと強めに店長さん達を睨む(目つきはちょっと悪いのよ)
「言い掛かりをつけられて黙っているわけないでしょう? 不正も何もしてないのに勝手な事言われたら貴方達は黙ってるんですか? 黙ってないですよね? こっちは当たり前ですけど毎日頑張って朝から起きて用意して、仕事が始まればでお客さんに混じって冷やかしの奴も来るから対応して、それでも帰ってくれない奴らを実力行使で追い出して迷惑をかけたお客さんには謝罪して、仕事途中でバイトが勝手に居なくなるから探し出してまた迷惑をかけたお客さんに謝罪して、仕事が終われば可愛い弟にご飯を食べさせてからギルドに送って店に帰れば売上を計算し掃除をして明日の仕込みもして、またやって来る迷惑な奴らを追い出して壊れた所を直して、私も魔法を覚えたばかりだから弟を守る為に修行もしなきゃいけないし、寝るの2時3時ぐらいですよ? 朝は準備に早いし早く寝たいけど修行しなきゃ私は全然弱いから弟を守る為に睡眠削ってますよ。 もう店の事で不正するくらいならやって来る迷惑な奴らをどうにかしたいですよ」
あっ、ちょっと話が変わった。
うん、支離滅裂だね。
ってか、壊れすぎたかも。
文句(?)言ってた店長さん達も他の店長さん達も商マスターすらぽかんとした顔してる。
ウィルさんだけはにこにこ笑顔だけど。
こんな時にもブレないウィルさん素敵っ!……っても、私のせいだし。
「……苦労してるんだな」
そんな憐れみの目で見ないでっ!
微妙に恥ずかしいですからっ。
「疑って悪かったよ」
……疑いが晴れた(ってか、同情してるだけだけどね)のはいいけど何か複雑かも。
うん、悪いのか転生(?)主人公やお姫様だ。
クロスに頼んで店に入れないように結界作ってもらおうかな……。
「……まあ、解決したならいい。 他に報告はないか?」
「ファレスさんではないのはわかりましたが、パナンが出回っているのは本当のようです」
「その情報は確かか?」
「はい」
パナンが売られてるのは本当だったのか(パナンが何かわかんないけど)
料理に混ぜるって事は食材なのかな?
「わかった、パナンの事は俺が調べておく。 皆もまた何か情報があったら教えてくれ。 では、解散」
……パナンって何か帰ったらリーフィに聞いておこう。
他の店長さん達がゾロゾロ出て行くのを見ながら思った。