落とし者拾いました④
ムキムキ筋肉、一言で言えばそんな感じ。
色黒で見ればすぐにわかるほど力がありそうな筋肉。
黒のアフロに青い眼(瞳はリーフィと同じだ……)
真夏の海で監視員をしてそうな感じがする。
……アフロでなければ。
「俺はキースだ」
にかっと笑うと白く光る歯。
爽やかな感じだしイケメンの中に入るんじゃないかな……アフロだけど。
「駄目兄貴が私のお姉様に色目を使わないでっ。 お姉様が汚れてしまいますわ」
「相変わらずリーフィはツンデレだな」
ツンデレ?
いつデレたの?
「死ねばいいのに」
本当に嫌そうに呟くリーフィなのにどんなフィルターをかけて見てるのだろうか。
妹だから可愛いってやつ?
「あっ、お姉様ごめんなさい。 お姉様とお話しておりましたのにこんな駄目兄貴に構ってしまって……」
ぴったりと抱き付いたまま上目遣いで見つめられたら許すしかない。
まあ、兄妹で話してただけなんだから許すも何もないけど。
「気にしてないよ」
「ああっ、お姉様ってお優しいっ」
赤らんだ頬に手を当ててくねくねしてるリーフィ。
うん、可愛いなー。
「所で働く話はどうなっただろうか?」
「もちろん、働くのは私だけでもよろしいですわ。 お姉様のお店に駄目兄貴は必要ありませんもの」
どうしよう……。
確かに人手は必要だけど……ちゃんと出来るのかが心配。
……うん、でも見た目で判断するのはいけないかもね。
仕事は真面目にしてくれるかもしれないし、一回やんなきゃわかんないし。
決め付けるのは悪い。
「じゃあ、2人とも明日からお願い出来る?」
「はいっ、頑張りますわ」
「任せろ、俺が完璧にやってやる」
やる気はあるみたいだし大丈夫だろう。
…………多分。
「じゃあ、軽く教えたいんですが今から用事はありますか?」
「お姉様のお願いとなればどんな用事があったとしても大丈夫ですわ」
それは大丈夫なのだろうか?
「俺も特にない」
「それでは軽く接客を教えますので中に入って下さい」
「はーいっ!」
ドアを開けたままでいたのでそのままリーフィとキースさんを招き入れる。
今はまだわかんないけどこの2人が出来るようになればケーキの出前でもやってみようかな。
魔法があるこっちの世界ならそんなに時間も取らないだろうし、やってみた方がお客さんも増えるかも。
新たな販売方法を考えながら私は小さな笑みを浮かべた。
そう言えば、リーフィもキースさんも名字はないのだろうか?