落とし者拾いました
この間の従業員探しは失敗に終わった。
多くの原因は絶対に戦マスターにあると私は思う。
戦マスターさえ、あの場所にあの時来なければ商マスターに言ってどうにか出来たかもしれないのに……。
お陰でしばらく従業員探しが出来てない。
ギルドには行けないし(決闘が終わってもまだザワザワしてるから、因みに決闘は商マスターが勝ったみたい)働き口探してるような人は見つからないし。
絶不調の私とは反対にアルフは着々と強くなってるらしい。
私が見たわけじゃないからわからないけどクロスは私に嘘は言わないから強くなったんだろう。
「はぁ……」
今日も喫茶店の営業が終わり、クロスにアルフを預けた後小さな溜め息を吐く。
始めたばかりの店を休業させるわけにはいかないのでダブルを使えるように修行する事は出来ない。
それに、従業員を先に探さないと後が大変だから従業員探しも止められない。
「はぁ……」
因みに悪環境なので溜め息を吐く事も止められない。
だけど、溜め息ばかり吐いていられないのでまた従業員探しを頑張る事にした。
エプロンを外してきちんとたたんでからドアを開けようとするが……。
「開かない?」
ドアは何故か開かない。
少しは開くので覗いてみれば、ドア前にある何かのせいでドアが開かないみたい。
……何かって言うか人だろうけど。
何でこんな所で倒れてんの?
よくわからないが落ちてる者以上悪いものはない。
私は巻き込まれてしまわないように静かにドアを閉めようとした。
が、ドアを掴まれてしまって閉まらない。
「離して下さい」
「嫌だ」
まだ倒れたままなのに何でこんなに力が強いんだ?
頑張って引っ張るもドアは動かない(離すの拒否された……)
「不法侵入って知ってますか?」
「悪いことだな」
だったら離せっ!
私は面倒な事に巻き込まれたくないし、介入する気もない。
静かに一般人ライフを満喫するんだっ。
「今日の営業は終了しましたので閉めますから離して下さい」
「腹が減って動けん」
嘘つきっ!
ドアにめっちゃ力入ってるじゃないっ。
お腹空いてるのは本当かもしれないけど私には関係ない。
見知らずの人に食べさせてあげるほど私はお人好しではないし。
「知りません。 ここは営業は終了しましたので大通りにあるレストランに行って下さい」
「金がない」
「私には関係ないです」
非情でも何でも言えばいい。
だって、関わる必要ないしお金がないのにタダで食べさせてもらおうなんて甘い。
……念話覚えてればよかった。
「腹が空いてるオレを可哀想だと思わないのか?」
「思いません」
私は某パンのヒーローではない。