従業員を増やそう⑧
「教えて欲しいんやったら教えるで?」
にこにこと笑みを浮かべながらボルギルフさんに言われる。
必要ではないし別にいらないよね。
「いえ、使う事ないと思いますので」
今思えばポケット(出し入れぐらいしか使ってない)とか創造(使ってない)とかあるのに魔法使う必要ないよね?
喫茶店も普通に暮らせるぐらいには売上あるし。
……今思えばポケット必要なかったかも。
「ファレスの弟は?」
「弟居るん?」
「今はクロ……知り合いに預けてます」
危ないっ。
クロスって言ったらバレるよ。
クロスって絶対帝だし、最強主人公だし……あれ?
主人公組が一気に戦ったら誰が勝つんだ?
やっぱり最強主人公のクロス?
「弟は何歳なん?」
「何歳でしょう?」
そう言えば私も知らない。
素直に答えればマスターもボルギルフさんもきょとんとしたような表情をしてる。
弟なのに知らないってやっぱおかしいよね?
帰ったら聞いてみようと思っていれば両肩をガシッと掴まれた。
……マスターとボルギルフさんの2人に。
「いや、知らんって事はないやろ知らんって事はっ」
「何か悩みでもあるのか?」
ボルギルフさんは驚き、マスターは真剣に心配してくれてる。
そう言えば拾ったって事言ってなかったような……。
わざわざ言わなくてもいいことだし。
……やっぱりマスターが心配し過ぎてキャラ崩壊する前に言っとくか。
マスターの様子を見ながら小さく苦笑いをする。
「この街に来た時にアルフと出会って1人で廃墟に住んでると言ってたので弟にしたんです。 見た目的に8歳から10歳ぐらいだと思います」
決して攫ってきたわけではないから慌てないでマスター。
ってか、マスターはアルフに会った事あるじゃん。
「学園には行かすん? ってか、独学よりちゃんと学園行った方がええよ」
私は行きたくないからいいけどアルフは行かせた方がいいのかな。
友達は必要だろうし……(でも、友達は主人公組以外がいい)
「お金が心配なら気にする事はない。 確かあの学園は特待生制度があったはずだ」
特待生制度かぁ。
アルフは魔法得意みたいだし、クロスに習えば接近戦も知識も大丈夫だろう。
……知識ぐらいは私が教えてあげたかったけど、神様(?)に知識はお願いしなかったからな……。
「学園に通うかはアルフの意見で決めます。 特待生になれなくてもアルフが行きたいのなら支払いますし」
嫌だけどアルフの為なら戦う。
戦闘ギルドに登録するのも戦うのもしたくないけど、今まで辛かったであろうアルフには幸せになってもらいたいから。
……本当に嫌だけど頑張る。
「俺も弟に会ってみたいわ。 強いん?」
「素質はある。 キチンと学園に通ってギルドで経験を積めばすぐに2Sランクになると俺は思っている」