トラブル終了⑥
スチュアートさんの執務室に入れば私たちはソファに座り、スチュアートさんが珈琲を入れてくれた、流石にジュースはないみたいなので私の鞄からアルフが飲めるジュースを出して上げてアルフに渡す。
「あの様子だとちゃんとご飯も食べてくれそうでよかったわー。 死なせちゃったら大変だもの」
そうホッと安心したように言ってるスチュアートさんはのんびりと珈琲を飲んでいる。
……確かにスチュアートさんはこの騎士団ではお偉いさんだし、もしエスメラルド様が死んでしまうなんてことがあったら責任を取らされる立場にあったかもしれないね。
スチュアートさん的には止めたいんだろうけど、流石にエスメラルド様を見殺しするつもりはないだろうし。
私も後からエスメラルド様が死んでしまったなんて聞きたくもない情報を聞かなくて済んだから本当によかったよー。
「エスメラルド様は今後どうなりますか?」
「そうね……誘拐を指示してたのは間違いないから少なくとも貴族ではなくなるわ。 マクレーン伯爵も夫人のことには何も言って来ないし、ご実家は夫人を戻らせはしないだろうしね」
「貴族の御令嬢だったエスメラルド様が平民になるのはきっと大変でしょうね……」
自炊の仕方とかは教えてあげられるけども、平民になるなら仕事をしなくてはいけないからエスメラルド様には大変なことになるだろうし。
仕事がなければ私のお店で働いて貰って給料を渡すものありだけど……仕事なんてしたことないだろうな。
「ま、そこは心配いらないわ。 お姉さんに任せなさい」
バチンっとウインクをするえスチュアートさんは本当に頼りになるよね……。
私なんかよりもずっと色々考えてるし、……私って本当に周りの人に恵まれたよ。
「ありがとうございます」
「うふ、いいのよ。 アヤミちゃんにはこれからまだまだお世話になるんだもの、先行投資よ先行投資」
「私に出来ることならお手伝いしますよ」
とは言ってみるけどもスチュアートさんは無茶なことは言わないから私は私に出来ることを考えよう。
まあ、私に出来ることなんてたかが知れてるし……今の状態から考えれば前にスチュアートさんにお願いされてた保存食のことをやろうかな。
忙しくてあまり時間取れたなかったけど、今なら出来るだろうしね。
「ありがと、じゃあ、珈琲を飲んだら家まで送るわ。 依頼を受けた冒険者が変なことをしないとは限らないもの」
「お願いします」
そうして、私たちはのんびりと珈琲を飲んで話をした後にスチュアートさんに家まで送って貰った。
エスメラルド様の依頼を受けた暁の牙からは特に何も接触がなく、私はまた変わらぬ日常を送ることにする。
何も変わらず、平和で楽しい日常へーー。