エスメラルド⑫
だよねいくら夢だと思っていたとしても流石に女の子に酷い扱いはしないよね、帝国にはまだ奴隷も居るみたいだけどレイファは奴隷反対派だったみたいだしね。
日本で暮らしてた記憶があるなら奴隷賛成には多分ならないでしょ。
中には奴隷ハーレムを作ろうなんて馬鹿な考えを持つ人もいるかもしれないけど、そんな人には絶対関わらないからね。
「まだまともな貴族だと思っていましたが私は間違っていたようですね」
「多分領民からの支持はあるんじゃないかな。 家の中ではモラハラ……自分の奥さんには人一倍厳しいだけで」
それを考えるとミリアリアさんは逃げてよかったのかもしれないね。
モラハラ男と結婚なんかしたらその先の人生お先真っ暗だと思うし、実際にそんな人に出会ったのは今回が初めてだけどさ。
「クロスはそんなことなさそうだから安心かな」
「あら、この男がアヤミお姉様に何かしようとしたら私が許しませんから大丈夫ですわ。 むしろ、今からでも別れてもよろしいのに」
未だに私とクロスの仲を認めていないのかにこにこと微笑んでるリーフィ……ってか、自然とクロスだから安心って言ったけど、これって結婚する気満々と思われないかな?
別にクロスと結婚したくないってわけじゃないけど、まだ付き合い始めてからそんなに日にちも経ってないからそんなこと考えてるなんて思われたら重いってなるかもだし……。
「なら、お前がどこかに行けばいいだろう」
「貴方なんかが私とアヤミお姉様の仲を引き裂けるとでも?」
「俺は最初からアヤミを裏切ったりはしてない」
「それは本当かしら?」
バチバチと火花が散りそうなくらいの二人の言い合いだけども喧嘩をするほど仲が良いってことなのか、本気の犬猿の仲なのかどっちなんだろうね。
あまり喧嘩はしてほしくないけど、無理に仲良くさせるなんてことはしたくないし。
「それより、もうディサンダ様たちには関わり合いになりたくないかな。 アルフもエスメラルド様に会いたいとも思ってないみたいだし」
「それがいいと思うぞ。 貴族に関わるのは止めていた方がいい」
「うん、そうすることにするよ。 これで終わりだなんて思わないからみんなも気をつけてね」
まあ、こんなかで一番弱いのは私だと思うから狙うとするならば私だと思うんだよね……。
リーフィが強いのは今回にギルドで連れて行ったことでもうわかったるだろうから、リーフィは狙われないだろうし。
ああ、でもクロスはただの学生に思われるかな。
一応みんなには注意をしながらこれから起こるであろうトラブルに小さなため息が漏れた。