エスメラルド⑨
「姉であるエスメラルドも大人しい女性ですが、ミリアリアはそんなエスメラルドの後ろにずっと隠れてるような子でしたね。 内気で学園でもエスメラルドが居なければどあたにも話せなく……」
「あの……アルフのお母さんとミリアリアさんは別人じゃないですか?」
さっきから話を黙って聞いていたけどもアルフの話とは全然違うってかもはや別人説を疑うんだけど?
アルフの話からするとミリアリアさんはとても強い女性で男勝りな感じがある女性ってことだし、ディサンダ様の話は180度違う感じの女性だし。
同一人物って言われるより別人って言われた方が納得がいくし……。
「容姿等を調べた結果ミリアリアだったんですよ。 ……まあ、性格は随分変わっていたみたいですが……」
「随分……」
性格が変わったってよりは別人だと思うんだけど……もし、同一人物ならミリアリアさんには何があったんだろうか……。
家を追い出されて旅をしてればそんなに性格が変わるの?
でも、もしかしたら本来の性格を隠していただけかも……そこは今更考えても仕方ないか。
「実は私は元々はミリアリアと婚約していたんです」
「え!?」
「姉であるエスメラルドが先に婚約するはずだったのですが、エスメラルドは頭がそんなによろしくなくて伯爵夫人は務まらないと判断されたんでしょう」
いや、簡単に言ってるけど自分の妻は馬鹿だって言ってるようなものだよね?
確かに昨日の話をした感じでは話が通じないってか頭がお花畑なんじゃないかとは思ってたけど……。
「私自身もミリアリアを妻に迎えるつもりで居ましたし……ミリアリアは他の男を選んで家を追い出されましたが。 なので、ミリアリアの代わりにエスメラルドと結婚したんです」
「え、それでよかったんですか?」
「私たちは貴族ですからね。 家の為に結婚するのが当然です、私がミリアリアを愛していたとしても家に居られなくなったミリアリアを妻にすることは出来ません。 愛人ならまた別ですが」
さらりと当たり前かのように言ってるけど、やっぱ貴族ってそんな良いものじゃないね……。
結婚相手ぐらいはちゃんと自分で選びたいし、家のこととか関係なく相手にも選んでもらいたい。
愛人なんてなるつもりなんて絶対ない……まあ、私を選ぶ人なんて本当に0.1%くらいの確立で居るかもしれないって感じだと思うけどね。
「貴族のことは私にはわかりませんが……」
「なので、エスメラルドは少しミリアリアに劣等感を抱いていたんでしょうね。 昨日はああ言ってましたがミリアリアが出て行って喜んでいましたから」