貴族の事情⑨
先にお店に戻った私はアルフたちにちょっとしたトラブルがあって今からお客さんが来るから出掛けてて欲しいと伝えた。
アルフは心配そうに私見ていたけどもリーフィとキースも一緒だと言うと安心していたので、私が荒事に対応するのは心配かけるみたい。
……まあ、私は戦うのとか嫌いだからそう思われるのも仕方ないのかもしれないけどさ。
「それで、何で強盗なんて働いてるんだ?」
アルフたちには裏口から出て貰って私は店の中で待っててくれてるリーフィとキースの元に向かった。
私がリーフィとキースの間に座ると早速キースが鋭い目で相手方を見て話し出す。
「まずは自己紹介をしよう、俺は暁の牙のリーダーであるエディ。 こっちはユルリとこっちはエイフィーだ」
王子様っぽい人……エディさんは自分と隣にいる二人の名前を教えてくれる。
ユルリさんって男はむすっとしたような感じだけど、エイフィーさんは軽く頭を下げて苦笑いしてる。
「知り合いにもなるつもりないからこっちは名乗るつもりはない」
「ああ、それは仕方ないね。 じゃあ、エイフィー、どうしてこんなことになったのか説明してくれ。 ユルリは黙っていてくれよ」
エディさんは不機嫌そうなユルリさんに釘を刺しながらもエイフィーさんに説明求める。
何でこんなことをされなきゃいけないのかわからないからそれは私も納得できる説明が欲しいって思ってたからありがたいね。
リーフィたちが納得するかはわからないけども。
「ええ、私とユルリは今日の朝一でギルドに向かったのよ、何か良い依頼がないかと思ってね。 それで、ギルドで見つけた依頼の一つに”貴族の息子が誘拐されて働かされてるのを救い出して欲しい”って依頼があったの」
「その働かされてるってお店がここでしたの?」
「店の名前自体は依頼書には書いてなかったんだけど、依頼書を読んだら誰だってわかるぐらいには店の説明がされていたわね。 依頼を受けるかは悩んだから一度確認する為に店に行ってみることにしたのよ」
お昼に二人がお店に来た時はまだその変な依頼を受ける前だったってことなんだね。
……何となく貴族の息子って表記があったってことだから嫌な予感はするけどもそこは今突っ込んだら長くなりそうだから黙っておこう。
「私たちが居ない時にアヤミお姉様にご迷惑をおかけしたみたいですものねえ」
「で、こんな強盗みたいな真似したってことは依頼を受けてアルフを誘拐しようとしたのか」
「もちろん、私は反対したわ。 このお店のことを調べてみたけど依頼に書いてるのとは違ったし、依頼人にも違和感があったから受けないつもりだったの」