アルフの家族⑥
エスメラルド様やディサンダ様が出て行った後にリーフィとキースも出て行ってしまったので何もすることがなくなってしまった。
アルフもそんなに遅くはならないと思うのでレイファと二人で話をしながら待つことにした。
「ただいまー! ……あれ? アヤ姉、お店やってないの?」
無駄にのんびり過ごしていると裏口の方からドアの閉まる音とアルフの不思議そうな声が聞こえて来た。
……今思ったらこんな無駄な時間を過ごすんじゃなくてレイファに手伝ってもらって保存食の研究すればよかったかも。
今更気づくなんて私ってアホだよねー。
「おかえり、アルフ」
「えへへ、今日はアヤ姉にお話があるんだー!」
「何かいいことがあったの?」
店をやってないことを不思議そうにしていたアルフだったけど、私の姿を見れば嬉しそうな笑みを浮かべながら駆け寄って来た。
アルフが幸せなら何だか私も嬉しくなってきちゃうよ。
「あのね、内緒で教えて貰ったんだけど、もう少しでギルドランクが上がるんだって!」
「え? もう上がるの?」
「うん、でも学園を卒業してから上げた方がいいんだって」
んー、10歳でランクが上がってばかりだとやっかみが増えてしまうからなのかな?
今でもクロスが言うにはアルフに嫌味言う人も居るみたいだし、もう少し経ってアルフが自分で対処出来るようになってからのがいいよね。
それだったらギルドの人の英断だね。
「そっか、じゃあ学園を卒業したら一緒に頑張ろうね」
「うん!」
ランクが上がること自体はアルフにとっては良いことなんだから私も嬉しいよ。
戦マスターだけはあまり好きにはなれないけども別に戦闘ギルド嫌いなわけではないからね。
むしろ、戦闘ギルドが無ければ困る人がたくさん居るんだから戦闘ギルドは絶対に在った方がいいからね……迷惑かける人が居なければもっといいのに……。
「そうだ、アルフ、リーフィとキースが戻って来たんだよ」
「え!? リーフィ姉とキース兄が!」
「うん、今は久し振りの王国に出掛けてるから夕方には帰って来ると思うよ。 今日は賑やかな晩御飯になりそうだよ」
アルフはリーフィやキースのことも慕っているから本当に嬉しそうだ。
キースが居てくれたらアルフも修行も手伝って貰えるし、リーフィは接客が本当に凄いからね。
コーネリアちゃんたちにももう少し休日をあげられるかも。
「やった! アヤ姉、今日は僕もお手伝いするね!」
男だって今は料理する時代だもんね、……異世界であるここがどうだかはわからないけども旅をするならある程度は料理が出来てた方がいいからね。
毎日毎日干し肉ばかりだったら力も出ないでしょ。