アルフの家族⑤
「はい、そうです……。 妹の息子が生きているのであれば……私はもう後悔したくないんです」
「で、アルフに会ったらどうするわけだ? アルフは親が亡くなってからアヤミと出会って今も幸せに暮らしているんだからな」
本当にその妹さんの息子がアルフなのかはアルフに確認してみないとわからない。
でも、キースが言う通りにもしアルフがその妹さんの息子だったならこの二人はどうするんだろう?
確実にアルフを引き取りたいって言うかもしれない、話した感じは嫌な貴族ってわけじゃないかもしれないけど……アルフと離れるのは嫌。
……けど、アルフにとったらどっちの方が幸せになるんだろう……。
「もちろん! 私たちで引き取ります!」
「エスメラルド」
「だって、その方が幸せよ?」
アルフが私と一緒がいいって言ってくれたら私はもちろんアルフを渡さない。
アルフは物じゃないんだからアルフの気持ちが一番だからね、それは相手が貴族だからって関係ないわ。
リーフィやキースも同じように思って居るのかエスメラルド様を見る目が段々と冷たくなっていく様子がわかった。
「……エスメラルド、君はやろうとしていることが君の父上と同じことだと理解しているのかい?」
「え……? そんな、私はお父様と違うわ!」
ディサンダ様は私と同じでアルフの気持ちを聞くためにここに来たのかな?
エスメラルド様の言葉に小さなため息をつきながらもディサンダ様は椅子から立ち上がり、私たちに頭を下げた。
そんなディサンダ様にエスメラルド様は驚いた表情をしている。
「帰るよ、エスメラルド」
「あなた、さって私はまだあの子の……ミリィの息子にも会ってないのよ?」
「今の君がその子に会うと何をするかわからないからね、話を聞いた途端に家を飛び出したことも含めて。 ファレスさん、またエスメラルドと話し合ってから後日また来ます」
うん、正直に帰って欲しいかな。
いきなりの話に私自身も混乱してるとこはあるし、今は用事でいないけどアルフが帰って来たらアルフにも話をしてアルフの気持ちも聞かないといけないしね。
エスメラルド様はまだ不満そうにしているけど、ディサンダ様は気にせずエスメラルド様を連れて店から出て行った。
……あー、何かいきなりでよくわからなかったけど疲れたー……。
「アヤミお姉様、心配しないで下さい」
「……リーフィ」
私が振り向けばにっこりと微笑んでるリーフィと不機嫌そうなキース。
リーフィも微笑んでるけど、どこか怒ってるような感じがするのは私の気のせいであって欲しい……。
「私たちは少々出掛けて参ります」
「今日中には戻ってくるからな」
二人は話を合わせたかのように立ち上がると私が止める間もなくどこかに行ってしまった。