アルフの家族③
「おい、エスメラルド。 店主さんが困ってるだろう?」
女の人にぐいぐい来られてどうしようか困って居ると男の人が駆け寄ってきて女の人に話し掛けている。
この女の人の知り合いなんだろうけど助かったよ……。
「だって、あなた……」
「君が慌てる理由もわかるが他人に迷惑をかけたらいけないだろう? 君が飛び出したから追い掛けて来たが……話を聞いて頂くならまずは彼女の予定を聞いて日程を決めてからだ」
男の人に叱られて女の人はしゅんっと落ち込んでる様子だけど、結局この人達は何なんだろう?
……あっ、わかったかも……この女の人の目ってアルフに似てるんだ。
「あの……」
「ああ、名乗りもせずに申し訳ありません。 私の名前はディサンダ・マクレーン、こっちは妻のエスメラルド・マクレーンと申します」
えっと、この二人は夫婦なんだね。
何でお店に突撃したのかわからないけど話の内容的には女の人の方が慌てて突撃して、男の人の方が追っかけて来たのか。
「アヤミ・ファレスと申します」
「ファレスさん、少しお話があるのですが宜しければ空いてる日時を教えて頂けませんか?」
「えっと……」
次のお店の休みが来週になるけど……その日はアルフの学園に通う為の書類を準備しなきゃいけなくて……えって、その次は……。
「アヤミお姉様、宜しければ本日お話をお聞きすれば宜しいのではないですか? もちろん、私達も同席致しますのでご安心下さい」
私が困惑してるを見かねてかリーフィとキースがいつの間にか私の後ろに立っていた。
確かにリーフィやキースに立ち合って貰えると私的には気持ちが凄く楽にはなるんだけど、この夫婦的にはどうなんだろう?
ちらっと私が男の人の方を見ると男の人は小さく頷いた。
「こちらとしては問題ありませんよ、ただ他言無用でお願いします」
「ええ、もちろんですわ。 伯爵様としては醜聞になりかねませんものね」
男の人の言葉ににっこりと微笑んで受け答えしてるリーフィ……って、え? 伯爵様?
キースもリーフィの言葉に驚いてないけどもこの人達が貴族って知ってたのかな。
「私を知っているんですね」
「もちろんですわ、伯爵様は有名ですもの」
にっこりと笑ってるリーフィだけどそれぐらい有名な伯爵様なのか、それともリーフィとキースが王国の内情を知りすぎてるのかどっちだろうか。
……うん、ここはあまり突っ込んで聞かないようにしよう。
「はこれからでも大丈夫ですが伯爵様はいかがですか?」
「じゃあ、お邪魔させて貰おうかな。 エスメラルドも気が気じゃないみたいだからね」
伯爵様も頷いてくれたのでとりあえず二人を店の中に案内することにした。