再会はすぐに⑤
確かにそれはそうかもしれない……あの誘拐犯も何かそれっぽいことを言ってたような気がするし。
誘拐を揉み消せるくらい権力を持った人が後ろ盾に居なかったら王都で堂々と誘拐なんてしないか……スチュアートさんは騎士団の人だし後ろ盾が誰かも知ってるとは思う。
スチュアートさんも機密情報漏洩とかもあるから話せないだろうし。
「まっ、王国のどの貴族が後ろ盾に居ても俺らには関係ないが」
「ええ、私たちはいつかバミューダ・クロードに復讐をする為に彼のことを調べていましたの。 もちろん、彼の後ろ盾のことも全て」
「それでわかったことが、第二皇子のウィルソン・フィランドが裏で糸を引いてることがわかった」
第二皇子ってレイファのお兄さん?
ちらっとレイファの方を見るけど、レイファはお兄さんが黒幕だと知っても特に何も思ってないのか平然としている。
「ん? ああ、アヤミさん。 俺はもう家族って思ってないんで大丈夫っすよ! むしろ、アルフが誘拐されそうになってたなんてすいません」
「うえっ、レイファが謝ることじゃないから気にしないで。 でも、第二皇子って確か次期皇帝に決まったみたいだけどリーフィたちは大丈夫だったの?」
レイファが気にしてないなら私から何か言うつもりはないけど……。
でも、第二皇子が黒幕ってことはリーフィたちの復讐の対象でもあるってことじゃない?
次期皇帝に決まった第二皇子相手に復讐って並大抵のことでは出来ないと思う。
「それに関しては大丈夫ですわ。 基本的に腐ってる帝国でも中にはまともな貴族もおりましたし、何よりディガル様が生きていらっしゃったことが有利に動きました」
「ディガル様?」
リーフィが様付けするってことはもしかして他の皇子が生きていたとか?
でも、他の皇子が生きていても聞く限りではどの皇子も対外な性格してるって話だったから有利になるのかどうか……。
「王弟のディガル様です。 今の皇帝の弟であり実の兄に殺されかけた方なのですが生きていらっしゃったようでレジスタンスの人と一緒に居られましたわ」
「ディガル様は本来なら皇帝になる予定だったんだけど発表前に行方が分からなくなってたんだ。 だから、兄であるディオル様が今の皇帝になったんだな」
つまり、まともな皇子だった人が皇帝になる予定だったのに悪い皇子が皇帝になったから更に帝国には悪い貴族も増えた、と。
だから、そのバミューダ・クロードって人も悪いことを堂々とするようになって、悪い皇帝からは悪い皇子しか生まれなかった。
そのディガル様が皇帝になってたらレイファは生まれてなかったからそこは考えないようにしよ。