再会はすぐに③
「アヤミお姉様、本当にロバート・スチュアートは大丈夫ですの? アヤミお姉様は無茶を言われたりはしていませんか?」
「戦場で剛力の巨人に会ったことはないが俺らも色々調べたからな。 素手でグレートベアを貫ける力、聞いたこともない戦略を立てる知能、王国騎士団の中でも一目を置かれてるらしい」
……え? スチュアートさんって素手でグレートベアを貫けるの?
いや、流石にそれは誇張表現だよね?
「あー、それは知らなかったけどスチュアートさんは良い人だから大丈夫だよ。 知り合ったのは最近だけどレイファの身の上を知っても養子縁組してくれたからね」
「レイファ皇子の……」
「もう、皇子じゃないから呼び捨てでいいけど」
札を出してきたレイファは苦笑いしながら戻って来る、レイファはもう帝国に戻るつもりはないみたいだから皇子ではなくなるもんね。
いつまでも皇子って言われたくないのかもしれない。
つい皇子呼びが外で出てしまったらスチュアートさんにも迷惑かけちゃうしね。
「わかりましたわ」
「レイファな、了解」
呼び方にはこだわりはないのかリーフィもキースも頷いてくれた。
よし、スチュアートさんが来てくれるならちゃんと二人のことを話してみよう、スチュアートさんなら何か良い案があるかもしれないし。
もし案がなくても私たちを見逃してはくれると思う。
「そうですわ、私たち、アヤミお姉様にお話があったんです」
「ん? 話?」
「この兄貴は本当に駄目駄目ですわね。 アヤミお姉様が気にしていた戦争のことで話があったでしょう」
リーフィの言葉にきょとんとしたような反応を示したキースにリーフィは小さなため息をつく。
うーん、キースの場合って天然なのかわざとなのかたまにわからない時があるんだよね……。
「その話は俺も聞いていいだろう?」
「え、スチュアートさん!」
戦争のことと聞き身構えていたが、不意に聞こえたスチュアートさんの声にドアの方を向く。
リーフィやキースが居るからか二人を睨みつけながら歩いて来るスチュアートさんは初対面の時のような威圧感がある。
……性格は別として見た目だけで言えば強面だもんね。
「帝国の犬がこんなとこに隠れてるとは思わなかったが……。 さて、話せ」
「リーフィ、キース、大丈夫」
椅子に座り足を組むスチュアートさんは威圧感が凄いけど、私は本当のスチュアートさんを知っているので緊張してる二人に声をかけて二人にも椅子に座って貰う。
仕事中のスチュアートさんを初めて見るのかレイファも少しビビってるみたいだけど、同じく椅子に座ったので私もリーフィの隣に座る。