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告白⑪

 



「アヤミ?」




黙ってしまった私をクロスが不思議そうに見て居るのがわかる。

どうしよう……いつまでも黙っているなんてそんなことは出来ないし……でも、上手く言葉が出ない……言わなければいけないのに言おうと思うだけで緊張してしまって言葉が出なくなる。


……あれは……。




「……クロス、私の育った国では花には花言葉ってのがあるの」


「花言葉?」


「そう、花言葉は遠い昔に他国で恋人への贈り物として文字や言葉だけじゃなくて花に思いを託して恋人に贈る風習があったそうなんだって。 その風習が色々な国に広がって行って、各国でその花のイメージからその国のオリジナルな花言葉が出来上がったそうなんだってさ」


「アヤミの国は色々あるんだな」




小さい頃からキラキラした花が大好きで将来はお花屋さんになりたいってのが私の小さい頃の夢だったな。

色んな本を読んだり、ネットで調べたり、場合によっては複数の意味があったりで勉強するのは大変だったけど楽しかった。


結局はお花屋さんは諦めて別の仕事をすることにしたんだけど。




「ここにも名前は違うだろうけど似たような花があって、これはチューリップ、花言葉は”思いやり”色によっても意味が変わったりするんだけど、こっちはエリカ、花言葉は”孤独””寂しさ””博愛””良い言葉”、サザンカは”難に打ち克つ””ひたむきさ”。 ……それから……」




緊張で手が震えそうになりながらも赤い薔薇を一輪手に取る。

日本でも認知度は上位にあるくらい誰もが知ってる花、そしてその花言葉も多分ほとんどの人が知っていると思う。




「アヤミ?」


「これは私の気持ち……赤い薔薇の花言葉は”あなたを愛しています”」




クロスに薔薇を差し出しながらも私の緊張は限度を超えてるように思える。

聞こえるんじゃないかってくらい私の心臓はドキドキしてるし、クロスがどんな反応するかも正直に不安。


花言葉で告白するなんてロマンティックと言うより気持ち悪く思われたらどうしようかとも思ってしまう……早く何か言って欲しい。

クロスは驚いたようにその綺麗な赤い目を見開かせているけども、すぐに心底嬉しそうな笑みを浮かべた。




「アヤミ!」


「うわっ!?」




いきなりぎゅっとクロスに抱き締められる、抱き締められてる感覚に顔中に熱が籠るのを感じながらもおずおずとクロスの服の裾を握る。

ぎゅうっと抱き締められてるからこの赤くなったであろう顔を見られないのは良いことなんだけど……この状態で居るのも恥ずかしい。


しかも、誰もが来そうなこんな花畑の中でだなんて余計に……。



 

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