告白⑨
一応巫女さんに声をかけてからクロスと一緒に教会から出ようとした。
「……触るな」
いきなりクロスが横に動いたと思えば後ろを向いて冷たい声で話していた。
私も振り向くと巫女さんの手が不自然なほど宙に浮いていたのでもしかして行こうとしたクロスの手を取ろうとしたのかも。
クロスは気配にも敏感だからそれを避けたのかな?
「巫女様っ」
「私は巫女ですよ、店主さんより私の方が貴方にぴったりだと思います」
クロスに一目惚れしたんだろうけど、凄いぐいぐいいくね……。
いや、確かに巫女さんは目も二重でぱっちりしてて可愛いのはわかってるし、クロスの隣に並んでも見劣りしないだろう。
でも、私だってクロスのこと好きなの。
「クロス、行こう?」
「店主さんだってこの方に似合ってないと思いますよね? こんなにカッコいい人なら私の騎士にします!」
……巫女さんの騎士が何かわからないけど名誉職なの?
それにクロスが騎士って似合いそうではあるけど……あまりクロスには合わないんじゃない?
「うるさい」
「どうしてです? 本当のことですよ?」
「アヤミがお前より劣ってるわけがない。 お前は噂で聞いた信託を聞けない巫女だろう? いつまでお飾りの巫女で居られるかな」
無表情のまま巫女さんを冷たい目で見てるクロス、巫女さん自体はもういいんだけど教会で騒ぎを起こしてるからもしかして何か言われたりしないか心配だな……。
そもそもの原因は巫女さんなんだけど。
ってか、巫女さんって信託があるから巫女さんじゃないの?
「信託なんて私には簡単ですよ!」
「街では噂になってるぞ? 信託も聞けないお飾りの巫女が教会に居るってな。 俺には関係ないことだがアヤミに近付くな」
そう言うクロスは私の手を引いて教会から出て行く。
後ろからは巫女さんが騒いでる声と巫女さんを宥めてるような女の人の声が聞こえて来るけど、無視して私はクロスと教会から離れて行く。
「はあ……ちょっと困った子だったね」
「困った所じゃない。 アヤミを下に見るなんてあり得ないことだ」
私がクロスに似合わないとか色々言われたのが気に入らないのか無表情のままも怒っているのがよくわかる。
……私からしたらクロスに似合ってないとは思うのは納得出来るんだけど……でも、私がクロスから離れることはクロスが私を嫌いにならない限りはない。
クロスに迷惑かかりそうな時になったらまた別だけどね。
でも、離れるとしてもクロスに無断ってことは絶対にない。
「まあ、もう関わることはないからいいじゃない。 それより行きたい方はこっち方面だから丁度良かったよ」