告白⑧
テンションの上がってる女の子は可愛いけど、他の女の人が困ってるから周りを見た方がいいんじゃないかな?
クロスは巫女さんには全く興味ないのか何も言わずに見てろみたいだけど……ちょっとイライラしてそうな感じなんだよね。
表情は無表情のままなのに結構雰囲気でわかるようになってきたかも。
「 店を気に入って下さりありがとうございます。 またのご来店お待ちしてますね」
「ねえ、店主さん。 これから話しませんか?」
「いけませんよ、巫女様はこれから神父様との会食があります」
うん、それは私も遠慮したいんだけど。
巫女さんが悪いわけじゃないけどね、宗教はあまり好きじゃないからちょっと……もちろん神様には感謝してるし、祈りは続けようと思うけど。
神様は宗教じゃなくて本当に居る人だから問題ない。
「えーと、私もこれから用事がありますので……」
「それって私より大事な用なんですか?」
お連れの女の人たちが止めてるせいか私が断ろうとしているせいなのか、巫女さんは不機嫌そうに頬を膨らまして私を見上げている。
いや、初めて会う巫女さんと私用だったら私用の方が大事なのは当たり前じゃないのかな……。
もしかしたら、こっちの人からしたら私用より巫女さんの方が大事なのかも……だからって今日は大切な日なんだから巫女さんを優先するつもりないけど。
「巫女様、我儘を言ってはなりませんよ」
「何でよ! 私は好きにしてていいんでしょう? だからここに居るのに」
巫女さんがどうしてここで働いてるのかわからないし、聞くつもりもないからさっさと行きたいんだけどね……言い合いってか巫女さんが女の人に怒ってるみたいだけどもう行っていいかな?
「アヤミ、行くぞ」
「うん、そうだね」
私がどうしようか迷っていると小さなため息をついたクロスが私の手を取る、思わずドキッとしてしまったけど私がきっぱり断らないからクロスにも迷惑かけちゃってるんだもん。
教会で時間を潰してる暇なんかないんだからちゃんと断らないとね。
……あれ? 巫女さんが静かになってるけど……。
「……」
巫女さんの方を見るとぽかんとしたような表情でクロスを見上げていた。
二人の女の人も巫女さんの様子にオロオロしたような感じだけど……どうかしたのかな?
でも、巫女さんのことはもういいか、シフォンのお客さんみたいだけどあまり関わり合いになりたくないタイプだしさ。
巫女さん自体はお店に来たことはないようだから私から教会に行かなければ関わり合いにならなくて済むでしょうしね。
「ごめんなさい、私たちはそろそろ行きますね」
ここはもう離れてこれからも教会には来ない方がいいよね。
巫女さんって信託を聞く大事な人みたいだからみんな我儘を何度も聞いてるから何でも叶うと思ってしまっているのかも。