レイファの失恋⑥
別にオカマだからって差別するわけじゃないけど……関わったことないからどう対応していのかわからない。
なるほど、ただの堅物なオッサンじゃないからアヤミさんは一日会っただけなのに信用したし、知り合いじゃなくてこのオッサン自体がもしかして転生者なのかもな。
アヤミさんは同郷にはちょっと甘くなるし。
「えー、どうも……レイファです。 あのオッサ……スチュアートさんが転生者なんすか?」
「あら、アヤミちゃんから聞いたの?」
「いえ、アヤミさんからは何も聞いてないです。 俺の勘っすね」
ついオッサンって言いそうになってしまったけど……その瞬間のスチュアートさんの目が怖すぎてヤバかった。
一瞬にして目に殺気が籠ってたからオッサンって言いきったらどんな目に合わされてたか……。
「そうよ、あたしが転生者。 今日は養子縁組の書類が出来たから持ってきたのよ」
「養子縁組……もしかして俺のっすか?」
「もっちろん~! 書類上はあたしが親になるからお母さんって呼んでいいわ」
そんながたいのごっついお母さんなんていらないけど……。
でも、俺が帝国の元皇子なんてバレたらヤバいから養子縁組した方がいいのはわかるんだけど、このオッサンと家族か……。
正直にまだ慣れないからせめて住む場所は今までと同じがいい。
「遠慮します」
「残念ね~」
おちゃらけてるから本気なのか冗談なのかも全くわからないけど、アヤミさんが信用してるなら信用出来る人ではあるんだろう。
アヤミさんが信用してるってだけで俺は信じられるから……性格は置いといて。
「これでレイファは安全だね」
「一応あたしも貴族だからそっち方面でも任せて頂戴、権力も使える時に使わなきゃね」
安心したような笑みを浮かべているアヤミさん。
……そうだよな、アヤミさんとアルフだけだったら問題なかったのに俺なんかを助けてくれたからこそ立場が悪くなる可能性もあったからな。
いや、立場が悪くなるだけならまだしも帝国と繋がってるなんて思われたら捕まるかもしれない、そんな可能性もあったのに俺を助けてくれたアヤミさんには感謝しかない。
「ありがとうございます、アヤミさん」
「ううん、私は何もしてないよ。 周りの人に恵まれたおかげだね」
にこやかに笑ってるアヤミさんに心臓がドキドキしてくる、女の子と付き合ったことなんて日本の時も含めて何度もあったはずなのにこんな気持ちは初めてかもしれない。
今まで恋だと思ってたのはもしかして恋じゃなかったのか?
それとも今までの恋人の誰よりもアヤミさんが好きなのかもしれない。
ああ、本当に恋ってのはわからないものだ。