レイファの失恋⑤
あの後はコーネリアちゃんをちゃんと屋敷の門まで送った、家に誘われたけどこんな遅い時間に一人で招かれたら家の人に誤解されるかもしれないし断った。
正直に言えば夜道を二人で歩いてるだけで何か言ってくる奴もいるかもだけど、馬車とかの密室に二人ってわけじゃないからそこまで気にしなくていいだろ。
次の日、店自体は休みなのだが俺はいつも通りにアヤミさんに会いに行く。
休みの日はコーネリアちゃんは家のことを勉強してるので店には来ないし、アルフとギルドに行くか三人でのんびりするかだ。
クロスが居たら絶対にアヤミさんの所に来るから邪魔だし……まあ、クロスからしたら邪魔なのは俺の方かもしれないけどな。
「アヤミさん、おはようございます!」
店はしまっているので裏口から中に入る。
こんな時に合鍵を預かってると何か特別な感じがして嬉しいよなー。
家の中に入るとキッチンの方から何か料理を作ってる音が聞こえて来てる。
あーあ、アヤミさんと一緒暮らしていれば新婚さん気分になっていたかもしれないけどな、……クロスに絶対拒否されるけど。
キッチンを覗くとレースのたくさんついてるフリフリの白エプロン……を着て料理してるガタイのごっついケツ顎のオッサンが居た。
「あら、貴方がレイファちゃんね! クロスちゃんとはまた違ったイ・ケ・メ・ン」
「は?」
え……何このオッサン!?
アヤミさんが料理してると思ってたし、しかもこんなごっついオッサンがフリフリエプロンつけてるとか目が腐る!!
「レイファ、おはよう」
「ア、アヤミさん!! コイツ……いや、この人は?」
リビングからひょっこり出てきたアヤミさんはのほほんとしてるけど、こんな男初めて見たんだけど……。
「昨日話したでしょ?」
「……えーと……スチュアート、さん?」
「はあい! あたしは王国騎士団第一軍部二席ロバート・スチュアートよ」
……いや、昨日コーネリアちゃんが言ってたのと全然違うじゃん!!
自分にも他人にも厳しい怖いオッサンじゃなかったの!?
まさかこんなオカマだなんてアヤミさんもコーネリアちゃん言ってなかった!!
「く、来るのはもう少し後なんじゃ……」
「それが思いの外早く終わったみたいで朝早くに来て下さったの。 レイファは休みの日にもお店に来てくれるからよかったよ」
にこにことしてるアヤミさんは可愛いんだけど……隣に居るオッサンが脅威すぎて違和感しかない……。
いや、オッサンもにこにこしてるんだけどオカマの耐性が俺にはない、記憶が戻ってからオカマなんて見てないし、日本でもオカマと会ったことないからこれが初めての出会いだし……。