レイファの失恋④
「でも、女の子一人だと危ないだろ? 俺もギルドに行ってて送れない時もあるし」
「レイファ様はお優しいんですね」
「いや、俺は優しくなんてないよ」
多分……いや、確実に俺はアヤミさんより非情になれるよ。
だって俺は日本人ではあるけど、兄弟すら己の欲望の為に殺す王族の血が流れてるんだからな。
俺の優先順位は一番はアヤミさんだから。
「でも、レイファ様がそう心配して下さるなら明日からは迎えに来てもらいます」
「ああ、その方がアヤミさんも安心するしな」
アヤミさんは素直に慕ってくれてるコーネリアちゃんのことを大切にしてるからな。
コーネリアちゃんが怪我でもしたらアヤミさんは凄い気に病むだろうし、それは俺が嫌だからな。
アヤミさんにはずっと笑って居て欲しい、もし俺が振られることになったとしてもアヤミさんには幸せになって貰いたい。
「……レイファ様はアヤミさんのことが大切なんですね」
「もちろん、俺の命の恩人だからな」
「それだけですか?」
ぴたりと歩みを止めたたコーネリアちゃんはじっと俺を見ている、コーネリアちゃんは結構周りを見てるから俺がアヤミさんを好きなのに気づいているのかもしれない。
でも、そんなことを俺が素直に話すわけがない。
コーネリアちゃんは俺が好きなわけだし、それなのに俺がアヤミさんのことを好きだなんて言ったら二人がギクシャクするかもしれないしな。
自意識過剰って言われるかもしれないけど、アヤミさんが少しでも傷つくようなことにはさせたくない。
「それ以外はないよ」
「そうですか……」
「ほら、早く帰ろうぜ」
まだ納得してないようなコーネリアちゃんだったけど、俺が歩き出したのでコーネリアちゃんもその後ろに着いてくる。
あーあ、クロスが帰って来なければアヤミさんと付き合えるかもしれないのにな。
「レイファ様、私……レイファ様が……」
「コーネリアちゃん」
コーネリアちゃんが俺に何を言おうとしたのかがわかったので俺は立ち止まり、振り返る。
振り返ると暗い中でもコーネリアちゃんの頬が赤く染まっていることが見えた。
にっこりとコーネリアちゃんに向かって微笑むとコーネリアちゃんの顔が更に赤くなるのがわかるけど……。
「レイファ様……」
「俺とコーネリアちゃんは今も友達だ、そしてこれからも」
「あ……」
コーネリアちゃんからの告白なんて聞いてしまったら、コーネリアちゃんが気まずくなってしまうかもしれないだろ?
貴族であるコーネリアちゃんが付き合うなら普通に王国の貴族の方がいいからな。
「さあ、行くか」
もうコーネリアちゃんは何も言うことはなく俺の後に付いて来る。
明日になったらちょっと気まずくなるかもしれないけど、告白を断るよりはマシだろ。