レイファの失恋③
店へと帰ってきた俺らを迎えてくれたアヤミさんは勢い良くアルフを抱き締めていた。
アルフが反抗期に入ってきたんじゃないかって心配もあったんだろうなー、アヤミさんはアルフが大好きだから仕方ねえ。
アヤミさんとアルフはそのまま二人で話すようなので俺とコーネリアちゃんは家に帰ることになった。
流石に女の子を一人で帰らせるつもりはないからコーネリアちゃんを送る為に二人で帰路につく。
「それにしても……レイファ様が帝国出身だなんて初めて知りました」
もう辺りも暗いので人は少なくはなってるからかコーネリアちゃんはぽつりと他の人には聞えないくらいの声で喋っている。
街中で大声で喋る話でもねえしな。
「まあ、人には話さないようにしてたし帝国訛りもそんなにないしな」
聞いてみれば王国と帝国ではイントネーションが結構違うみたいで意外とイントネーションでわかるみたいだな。
俺は記憶が戻ってから帝国訛りがなくなったみたいで王国に来てからもそんなバレるようなことにはならなかったからよかったし。
「はい、レイファ様のことが知れてよかったです」
「そんな良いことではないけどな」
因みに俺はアヤミさんみたいにちょっと鈍感でもないからコーネリアちゃんが俺に好意を抱いてるのはわかってる。
でも、俺はコーネリアちゃんと付き合うつもりは今の所ないから気を持たせるようなことは言わないししないようにはしてる。
流石にこんな暗くなった街を女の子一人で歩かせるわけにはいかないからそこだけは送るようにしてるけど、コーネリアちゃんから好意に繋がるような話があればバレないように躱してるつもり。
……昔ならこんな可愛い子から好意を持たれてるってわかったら気軽に付き合ったりしてたのに人間って変わるものだな。
「いえ、レイファ様のことなら何でも知りたいです」
コーネリアちゃんも何でこんな面倒な俺なんかに恋しちゃったんだろうな。
王国貴族の御令嬢であるコーネリアちゃんは元帝国の皇子で現在は身元不明の平民なんかと結婚出来ないんだろうからさっさと諦めればいいのに、なんて思う俺は非情な奴かも。
「そう? 知っても何の役にも立たないと思うけど。 ……それにしても今日は迎え呼んでなかったんだな」
「はい、そんなに遠くもないですからわざわざ呼ぶほどでもありませんし。 たまに御一緒にお食事を取る時もありますのでずっと待たせてるわけにもいきません」
うーん、それはそうだけど……コーネリアちゃんはもしかしたら当主になるかもしれないんだったら迎えは必要だと思うけどな。
いくら学園で戦闘の授業もしてるって言えどもそれは授業だからまた別だろうし、複数人の人攫いが来たらヤバいだろ。