レイファの失恋
レイファ side
「アルフ、さっきのアヤミさんの話が気になるのか?」
「レイファ兄……僕ってアヤ姉のお荷物なのかな……?」
俺とアルフはギルドには行かず少し行った先にあるベンチに座っていた。
アルフはさっきのアヤミさんの話は知ってたんじゃなかったっけ?
クロスの野郎にもアヤミさんは話してただろうし、何でこんなに落ち込んでるんだよ。
「んなわけねえだろ。 アヤミさんが一番大事にしてんのはアルフじゃん」
「うん、アヤ姉が僕に凄く優しいのは知ってる。 アヤ姉はどんなことをしても僕を守ろうとしてくれてる……でも……」
まあ、アルフの言いたいことはわからねぇでもないけどな。
アルフはアヤミさんのことが大切だからこそ守って貰うばからの自分が嫌なんだろう。
この世界なら十歳はもう普通に親の手伝いをして働くのが当たり前だし、ギルドに登録して依頼を受けてる奴も居る。
もちろん、アルフだってアヤミさんの手伝いで店でも働いてるし、ギルドにも通っているけどアヤミさんや俺らの感覚からすればまだ守らなければいけない子供だ。
それこそ十歳ならまだ小学生、働かなくても元気に遊んでいればいいだろう。
だけど、そう思うのは俺たちが”日本人”だからこそ思うことでもある。
それにアルフは両親も殺されて自分だけが生き残ってしまったのも気にしてるみたいだしな。
「アルフが強くなりたいのはアヤミさんを守りたいからだもんな」
「……うん、お父さんやお母さんは守れなかったから……アヤ姉は絶対に守りたいの」
アルフの両親が何で殺されたのかはアルフにもわからねえみたいだし、今度こそ強くなって家族が居なくなるのを防ぎたいんだろう。
俺はアヤミさんの気持ちもわかるし、アルフの気持ちもわからなくはない。
「アヤミさんや俺ら転生者からしたらアルフはまだ子供だからな。 でも、アルフがアヤミさんを守りたいって気持ちも分かるぜ」
「レイファ兄も?」
「ああ、俺もまだ未成年だからアヤミさんには子供扱いされてるからな」
実際三歳差なんてあってないようなものだと思うけど、日本でも二十歳からしか出来ないことも多数あったからな。
子供扱いされるのも仕方ないかもしれないけど……ちょっと傷つくわ。
「レイファ兄もアヤ姉守りたいの?」
「ああ、アヤミさんは恩人だからな」
まあ、命の恩人だから守りたいってだけではねえけどな。
それをアルフにもアヤミさんにも言うつもりはねえし、命の恩人だからってことにしとけばいいだろ。
「そっか」
「アヤミさんとちゃんと話した方がいいぞ? アヤミさんも頑固なとこはあるけどきちんと話さないと後悔することもあるかもしれねえ」