転生者⑦
「もちろんです。 私からは何も聞きませんわ」
「ありがとう。 ああ、そうレイファにはレイファで話があるのよ」
「俺っすか? ……もしかして、さっき出掛けてた……」
まあ、騎士団に呼ばれて出て行った私が帰って来て速攻こんな話をしてるんだから何となくは予想はつくよね。
しかも、私が呼ばれたのが騎士団ってことももちろんわかっているから何を言われるか分からなくて不安でしょうし、もしかしたら自分のことがバレたんじゃって思うよね。
実際にバレたのがスチュアートさんでなければ問題があったよね。
今ではもう帝国の証は消えてるけど、レイファは本当に帝国の元皇子なんだし。
「うん、私が呼ばれた理由から説明していくね。 まず私を呼びに来たのが」
「知ってますわ、王国騎士団第三軍部七席のマイヤ・アラフィー様ですよね? 」
あれ、コーネリアちゃんはアラフィーさんのこと知ってるんだ。
騎士団だからもしかして女性の騎士の人は珍しいのかもしれない、そうならコーネリアちゃんが知っててもおかしくないのかもね。
「王国騎士団第三軍部七席?」
「はい、アラフィー様は女性騎士の方でも特に優秀な方なんですよ。 第一軍部から第十軍部まであり、一軍部で千人前後入隊していらっしゃいます。 その中でも第一席から第十席までの方は他の方の指揮をなさる方でとても凄い方々なんです。 なのでアヤミさんを迎えに来られた時は驚きました」
簡単に言えば千人の中で特に偉い十人の中の一人がアラフィーさんってことだよね?
……何でそんな人が私を呼びに来るなんて使いっ走りみたいなことをしてるのかさっぱりわからないけど。
リーフィやキースの時もアラフィーさんが来てたし、何もない平和な国だから騎士団の人の仕事がそんなにないのかもしれない。
「そんな凄い人だったんだ」
「で、そのアラフォーさんがアヤミさんに何の用だったんですか?」
「アラフィーさんだからね?」
一文字違うだけで大分違うから本人の前では間違えないようにね。
こっちの人だからアラフォーって言葉は知らないかもしれないけど、女性には失礼だから。
「私を呼んでたのはアラフィーさんじゃなくて上司であるロバート・スチュアートさんなの」
「スチュアート様ですか!?」
コーネリアちゃんが色々知ってるだけなのか、それとも貴族の人は騎士団の人も把握してるのかどっちなんだろう……。
もちろん、アラフィーさんやスチュアートさんがただただ有名なだけって可能性ももちろんあるけどね。
「スチュアートさんって?」
「王国騎士団第一軍部二席ロバート・スチュアート、通称” 剛力の巨人”。 数々の功績から第一軍部二席に上り詰めた凄い方です。 自分に厳しく他人にも厳しいとの噂の方であの方に睨まれた人は逃げられないとも言われております」