ある日の出会い⑤
メイクアップアーティストがどんな仕事か私には想像もつかないけど、化粧品にまで気を使っているなら凄い人だったんだろうな。
どんなプロでも道具には気を使うってテレビで見たことあるし。
あ、でもそろそろ本題に入った方がいいよね。
遅くなったらアラフィーさんが心配して戻ってくるかもしれないし、私もスチュアートさんもバレてはいけないからね。
「それで、結局私は何の為に呼ばれたんですか?」
「会いたかったってのが本当よ。 でも、アヤミちゃんと会って話してやっぱり保存食の方もお願いしたいわ」
……会うだけなら全然問題ないけど、保存食も頼まれるとな……。
同じ同郷の人でも流石に戦争に使うであろう保存食を作るだなんてことは出来ないから受けてやっぱ出来なかったって言うしかないね。
「そうですか……、でも戦争に間に合うかはわかりませんよ?」
「あら、戦争なんてどうでもいいわよ」
「え……?」
だって、戦争に参加するから保存食の開発が必要だってアラフィーさんから聞いていたのに……。
だから私はしっかり断るか、騎士団の人と揉めたくないから作る振りてやり過ごそうか考えていたし。
「だって、戦争がどんなにいけないことかはあたしたち日本人ならわかるわ。 わからない馬鹿な子も居たりするけどそれは例外ね。 そんな子に戦争に使う為に保存食作ってなんてお願いはしないわよ」
予想してなかったスチュアートさんの言葉にぽかんとしてしまった、まだ少ししか話してないけどもスチュアートさんは嘘をつくような人には思えないんだよね……。
そんなに人間関係広くなかったから人を見る目なんて私にはないからわからないけど。
「では、どうしてですか?」
「あたしの神様からの能力よ」
「え!? そんな簡単に能力言っちゃっていいんですか!?」
私も簡単に言っちゃったからあまり言わないけど、本来なら能力は隠した方がいいんだよね?
私の能力も他の人からすればチートみたいな感じだし、他人にバレたら絶対に厄介なことになるし……簡単に言った私が本当に言えることではないけどね。
「あたしはアヤミちゃんと話して信じるって決めたもの、あたしが信じた人に話して何かあったとしてもそれはあたしの見る目がなかっただけ。 でも、案外あたしは人を見る目はあるのよ」
そう言いながらウインクするスチュアートさんが輝いて見えた。
そっか、そうだよね。
裏切られたらどうしようとか思ってたけど、自分が決めたことなんだからそれは受け止めないとね。
……裏切られたら少しはショック受けるだろうけど、私が決めたんだから。
だから、私はスチュアートさんを信じよう。