クロスの気持ち、私の気持ち⑤
「……リストル様、戦争に行かれるそうですね」
「ああ、聞いたんだ。 そうみたい、多分ギルドからの呼び出しもそれ関係じゃないかな?」
私がキッチンに行ってから聞いたのかな。
アルフはクロスに懐いていたから戦争に行くことを知って泣いてないといいけど……。
「アヤミさんは引き止めなかったんですか?」
「私には引き止める権利はないよ。 クロスの人生だからね」
そう、私にはクロスを引き止める権利なんてない。
本当は行ってほしくないけど、そんなことは私が言ってはいけないから。
「……そうですね、リストル様はそんなお方ですから……アヤミさんを守る為ならどんなことでもしますでしょう」
「うーん、私を守るってか……」
クロスもそんなこと言ってたけど、そこまで言うほど私に割合を置いてないんじゃないかな?
クロスが私のことを好きなのは知ってるけども、それも助けたことによる吊り橋効果が大きいんじゃないかと思うんだよね。
「だって、リストル様とアヤミさんは恋仲ではありませんか」
「はい?」
え? 誰と誰が恋仲!?
私はクロスとそんな仲になった覚えは全くないんだけど!
「違うのですか?」
私が本気で驚いてるのがわかったのかコーネリアちゃんが可愛らしく首を傾げているけど、それは違うよ!
何でコーネリアちゃんがそんな勘違いをしたのか全くわからないんだけど……。
「違うよ! ただの友達!」
「でも、アヤミさんもリストル様を好きでいらっしゃいますよね?」
「そりゃあ、友達だもん」
クロスのことはもちろん好きだよ。
優しいし、私を気遣ってくれてるのも凄いわかるし……でも、そんな付き合ってるなんて勘違いされてるなんて思ってもいなかった。
私の答えにコーネリアちゃんは少しぽかんとした感じでいた。
「アヤミさん、気づいておられないのですか?」
「え?」
気づくって何を……?
私ってそんなヒロインみたいに鈍感属性も持ってないと思うんだけど。
「リストル様がアヤミさんのことを愛しておられるのはもちろん知っております。 あれだけ周りを牽制しておりますし、アヤミさんにはとてもお優しいですから」
「クロスが私のことを好きでいてくれてるのはわかるけど……」
「アヤミさんはどうしてリストル様の申し出を受けないのですか? 言ってはあれですが、リストル様は貴族ではありませんし、強さもアヤミさんは知ってると思いますし、アヤミさんにとてもお優しいですし」
……コーネリアちゃんが言うことは最もなんだけど、だって年が……私は成人してるけどクロスは未成年なんだもん。
日本じゃ完璧な事案なんだけど。