クロスの気持ち、私の気持ち③
「クロスが強いのはわかってる……でも、無事で帰って来て……」
「ああ、俺がアヤミに嘘をついたことはないだろ?」
……いい年こいてこんなに泣くなんて思ってなかった……。
でも、仕方ないよね、友達が死ぬ可能性あるなんて考えたくもなかったし。
死ぬかもなんて考えて泣くのなんか初めてのことでこっちだって混乱してるの。
「うん、クロスはいつも私には正直に話してくれるよね」
だから、まだ安心は出来る。
心配だけどクロスが私に嘘ついてのって最初の初対面の時くらいだもんね。
「俺はアヤミを好きだからな」
「……ずっとそれ言ってるけど飽きない? だって私だよ?」
「アヤミは素敵な女だろ」
こんな私を好きだなんて言うクロスの感覚は何なのか。
自分勝手だし、可愛くもないし、太ってるし、何がいいのか一つもわからない。
「どこがかわからないけど……」
「アヤミは内側に入れた人間に甘くなるだろう? それはアヤミの欠点でもあるが俺はそんなアヤミの優しさに惚れている」
……なんでそんなに恥ずかしいことを目の前で平気で言えるの……思わず照れてしまうじゃん……。
私は顔が熱くなるのを感じながらもクロスを見上げる。
年下だからって告白されたら恥ずかしいし……。
「そんなことない……と思う」
「そうだろう? 俺興味がないならさっさと振ればいいだけの話だ、それなのにアヤミは俺を許してくれているのは俺が年下で尚且つアヤミの身内判定されているからだろう」
……そんなにはっきり言わなくても私だってわかっている、クロスの為を思うなら私から振ってあげた方がいいに決まっているのに私はクロスに何も言えないで居る。
私が振ってしまったらこの心地良い毎日が変わってしまうのではないかと言う自分勝手な恐怖もあるからだ。
私はそんな自分勝手な人間だからクロスの気持ちも考えずに自分が楽な方楽な方にいく。
私に一番甘いそんな私が大嫌い。
「クロス、私は……」
「アヤミ、俺はアヤミが好きだから一緒に居るだけだ。 アヤミが俺を受け入れてくれるなら俺は嬉しいが、そうでないのなら何も言うな。 俺はアヤミが思って居るほどいい奴ではないからな」
私がクロスに何か言おうとするもすぐにその言葉はクロスに止められる。
……クロスがそう言うから私は甘えて何も言わなくなるのに……。
私なら曖昧じゃなくてはっきりして欲しいと思うんだけど、クロスは違うんだよね。
それがどうしてかは私はクロスじゃないからわからない……。
「クロス……」
「俺は執念深い男だからな。 アヤミが俺を嫌いになるまでは傍に居させてくれ」