戦争の予感⑧
……この際、相田さんがさり気なくお城に侵入してることは今は何も言わないでいよう。
相田さんが城に侵入してたとしても私たちには何も不利益がないことだからね。
それよりも、牢に閉じ込められたって中学生の子が心配だ。
けど、牢屋に何で入れられてしまったんだろう?
「何で牢屋に……」
「戦争が嫌で拒否したら牢屋行きになったみたいですね」
そりゃ、中学生くらいの子なら戦争なんて嫌でしょ。
嫌がったら牢に閉じ込めるだなんてどれだけブラックなのよ……。
「帝国って最低ですね」
「アヤミさん、”チュウガクセイ”様と言うのは……? アヤミさんのお知り合いですか?」
相田さんの話に怒りを感じているとおずおずとコーネリアちゃんが声をかけてきた。
あっ、そう言えばコーネリアちゃんには何も説明したことなかったっけ?
何も説明なかったら私と相田さんの話が全くわからないのも当たり前だよね……。
「えっと、中学生ってのは私たちの故郷で学園に通ってる12歳~15歳くらいの子を指す言葉なんだ」
「まあ、そうでしたの」
コーネリアちゃんは信用出来るから私のことも全て話してもいいかもしれないけど、それはまた今度時間がたっぷりある時にしよう。
今までのこと全部話すとしたら時間がかかるからね。
「……アヤミさん、お願いがあります。 俺と一緒に帝国に行ってくれませんか?」
「それって……」
「未成年が牢屋に閉じ込められたり、戦争に無理矢理参加させられそうになっているのを黙っていられません」
……相田さんって正義感が結構強いね。
私居突っ掛かってくるあの主人公よりは全然いいんだけど、私はそこまで正義感強くなれないかも。
もちろん、誘拐された中学生が心配じゃないってわけではない。
可哀想だと思うし、困ってるなら少しは手伝ってあげたい気持ちはあるけど……私はそこまで強くないから自分の身を守るだけで精一杯。
城に侵入して牢屋から中学生を助けられるほどの力は私にはない。
「……中学生の子は可哀想ですが、私にはそんな力はありません」
「えっ? 力を貰ったアヤミさんなら大丈夫じゃないんですか?」
「私の力は全て生活に役立つものですから戦闘向きじゃないですよ。 むしろ、戦闘力で言えば私なんて逃げることしか出来ないです」
ルーヘン村で戦った時も私は逃げ回りながら補助で気を引くことしか出来なかった。
今でも必要最低限戦いたくないのに帝国のお城に侵入して中学生の子を助けることなんて無理。
誘拐されたのは本当に可哀想だけど……。
「そんな……アヤミさんならわかってくれると思ってたのに……」




