修行……出来るかな?②
「Bランクの依頼をわざわざ帝である俺に?」
「この依頼者は相当な力を秘めているはずだよ。 だけど、商業ギルドの方に登録したけどこっちには登録しないみたい。 だからこそ全帝である君に……クロス・リストルにやって貰いたいんだ、因みにこれはギルドマスターとしての命令だ」
クロスと呼ばれた少年は“命令”の言葉に眉をひそめる。
帝の中でも最も強く最強と呼ばれる全帝。
その全帝が帝の中では一番年下でまだ学園に通っている。
しかし、ギルドにおいてギルドマスターの言葉は絶対。
クロスは小さな溜め息をつきながら依頼書を降り懐にしまった。
「わかった」
「彼女を強くしつつ勧誘もお願いするよ。 僕にはわかるんだ、彼女はこのギルドには必要なんだって!」
熱く語るシェイルだがクロスにはどうでもいいのかあまり聞いていない。
だが、シェイルは気付いていないのかまだ彩美の事を熱く語っている。
クロスはまだ見ぬ彩美に少し同情した。
「(こんな馬鹿にどんな意味であれ好かれるなんて最悪だな)」
「ああ、早く僕のギルドに登録に来て欲しい……。 力のある人は世界を平和にするべきだろう」
マスター室で待つよりはマシだとクロスはシェイルに声をかけることなく受付に向かった。