妨害の行方①
パーティーが終わってからは何の変哲もない日常が戻ってきた……なんてことはなかった。
「また今日も?」
「はい……いったい誰がこんなことをしているのでしょうか……」
パーティーが終わった後くらいから店に対して嫌がらせが酷くなっていた。
元々嫌がらせの張り紙があったり、悪い噂を流そうとしってる人が居たりしたけど、ここ最近は店の前に生ごみが捨てられたり、怪文書がポストに入れられたりしてる。
しかも、ほぼ毎日。
「お客さんに見られないようにすぐに掃除するようにしてるけど……」
「毎日毎日、暇なんですかね?」
こうも毎日嫌がらせされてると嫌にもなってくるわ。
同業者の嫌がらせかと思って今まで放置してきたけど、やっぱり何か対策をとった方がいいのかな?
一度警備隊の人に話してみるのもいいかもしれないね……。
「アヤミさーん、遅くなってすみません」
「どうしたの?」
三時間くらい前に買い物を頼んでいたレイファが帰ってきた。
足りない材料を頼んでいただけだったからちょっと遅くて心配してたんだよね。
「もう聞いて下さいよー。 買い物してたら変な連中が絡んできて今まで警備隊舎で事情聴取っすよ」
「え? 大丈夫だったの?」
「もちろん! あんな奴らに負ける俺じゃないっすよ!」
なるべく喧嘩はしてほしくないんだけど……でも、レイファやクロスが絡まれる確率が何だか高くなってきてるよね……。
クロスの場合はアルフに絡もうとしたのをクロスが助けてくれた感じだけど。
だから、アルフにはあまり一人にならないように言ってる、何かあったら大変だし。
「……あのパーティーの後からですよね……」
ぽつりと呟いたコーネリアちゃんは暗い顔をしてる。
……確かに嫌がらせが増えたのも、絡まれるのも、あのパーティーが終わってからの話だけど。
でも、流石にそんなみみっちいことはしないでしょ。
「気にしすぎだよ。 早くランクが上がってしまったからその妬みからじゃない?」
「それでも、許せません! アヤミさんが何かしたわけではないじゃないですか」
まあ、理不尽な嫌がらせは確かにイラついてしまうよ。
これが妬みだったとしても、他に理由があったとしても、こんなことをする理由にはならないからね。
何か理由があるならハッキリしてほしい。
「アヤ姉、ただいま!」
「今、戻った」
修行に出掛けていたアルフとクロスもお店に戻ってきた。
アルフに何かあったら大変だから帰ってきてくれてよかったよ。
「アヤミ、少し話がある」
アルフはにこにこしながらも洗面台に手を洗いにいった。
この世界の人は帰ってきても手洗いうがいもしてないみたいだから、アルフにはちゃんとするように言ってある。
アルフはしばらくしたら帰ってくるだろうし、先にクロスの話を聞こうかな。




