悪女は婚約破棄をする?⑪
「はい、アヤミさんも会ったことありますよ」
「え?」
コーネリアちゃんの婚約者に私が会ったことある……。
私があったことある人なんて少ないし……もしかして店に来たとか?
でも、それなら会ったって内には入らないと思うけど。
「私と初めて出会った日に居ましたよ」
「はい? まさかあの信号機くんたち??」
「信号機くん?」
まさか、だよね?
いや……だって信号機くんの誰かってことはコーネリアちゃんを虐めてるわけでしょ?
婚約者を虐めるってどんな人よ、その人を婚約者にしたお兄さんの感覚も分からないけどさ。
「失礼だけど、お兄さんが選んだんだよね?」
「昔は傲慢ではありましたがまだマシだったんですよ。 キャンベルさんと仲良くなってから更に酷くなりまして……」
意外とコーネリアちゃんは口が悪いね。
あんなことを婚約者にされたんだから当たり前のことかもしれないけど。
お兄さんはコーネリアちゃんを可愛がってるみたいなのに何でそんな人を選んだんだろう?
「キャンベルさんってあの女の子?」
「はい、今日は何故か兄と一緒に居ましたがいつもは私の婚約者で騎士団長のご子息であるクルス・ディアス様、魔法研究所長のご子息であるエドワード・フォスター様、教会の大司教様のご子息であるネルソン・マーティン様と過ごされてます」
うわー、なんか乙女ゲームとかにありそうな感じ。
婚約者が居る人に近づいて仲良くするとか、……んん? でも、それならコーネリアちゃんが悪役令嬢ってことになってしまうからそれはないね。
だって、コーネリアちゃんはこんなにいい子なんだし。
「コーネリアちゃんは婚約者の人はあまり好きじゃないって感じだね」
「はい、クルス様は平民の方々を見下してる発言が良く見られますので苦手ですね……。 私たちが貴族で居られるのは平民たちが頑張って働いて下さっているからです。 なのにクルス様はそれを勘違いしているようで……」
コーネリアちゃんはまだ子供なのにしっかりした考えを持っているんだね。
この屋敷の大きさからしてコーネリアちゃんの身分は大分高いとは思うんだけど、それに驕ることなく真面目だし、貴族がそんな人ばかりだったら平和な世界なんだけど。
まあ、そんなことはあり得ないのはわかるよ、人間って欲深いからね。
私もそんな欲深い人間の一人だし……。
「他の女の子と仲良くしてることで婚約破棄って出来ないの?」
「難しいですね。 私の家の方が爵位は高いのですがそれだけでは婚約破棄の理由には弱いです」
なるほど、それが体の関係を持ってたりしたら婚約破棄出来るかもしれないけど、仲良くしてるだけなら無理なんだね。
私は恋人が他の女の子と仲良くいちゃいちゃしてたら絶対に嫌だけどね!




