悪女は婚約破棄をする?⑩
「でも、未婚の女性が男の方にベタベタ触るのははしたないですよ」
「アイリってドジだから支えてもらわないと転んじゃうんだもん」
桃色の子が可愛いのは分かるけど、なんか天然ヒロインって感じで私は好きじゃないかも。
本物の天然ってより作り物のぶりっ子って感じもするし。
歩いてるだけで支えてもらわないといけないくらい転ぶってもう介護の域だよね
「それより、そちらのお嬢さんを僕に紹介してくれないか?」
妹であるコーネリアちゃんのことが気になるのかにっこり笑ってるお兄さん。
……なんかちょっと威圧を感じる気がするけど、気づいてない振りをしていよう。
「私のお友達のアヤミ・ファレスさんです」
「アヤミ・ファレスと申します」
にこにこしてるようで私を値踏みしてるっぽくてコーネリアちゃんには失礼だけどあまり関わり合いを持ちたくないかな。
でも、ちゃんと家の人に挨拶するのは常識だから仕方ない。
「ふーん……僕の可愛いコーネリアをよろしくね。 じゃあ、僕はこのお嬢さんを送って行くよ」
「え?」
私を見てどんな判断をしたのかは分からないけど、お兄さんはにっこり笑ったまま何やら戸惑ってる感じの桃色の子を連れて私たちが来た道へと去って行く。
戦マスターとは別の意味でもう会いたくないタイプね……。
「……アヤミさん、私の兄が申し訳ありません」
お兄さんと桃色の子が去って行くとコーネリアちゃんは小さなため息を付く。
うん、あのお兄さんならコーネリアちゃんが過保護だって言ってた意味が良くわかるね。
コーネリアちゃんの友達関係とかもすっごい口出ししてきそうな……コーネリアちゃん本人には何も言わず裏でコーネリアちゃんにバレないように手を回すって感じ。
コーネリアちゃんはだから虐められてることを言えずに私の家に住んでるんだろうね
あれだ、昔っからあるモンスターペアレントってやつだね、親じゃなくて兄だけど。
「私と兄は十離れているんです。 小さい頃は両親が忙しくて兄が私の面倒を見てくれたこともあって今は私のことに関してあんな感じなのです……」
「心配してくれてるってのは私でも分かったんだけどね」
「でも、最近は行き過ぎなんですよ。 なんでもかんでも口を出してきますし、私の婚約者も兄さまが決めてしまいましたし……」
「え? コーネリアちゃんって婚約者居たの?」
それは初耳なんだけど、でもそれならレイファにパートナーを頼んじゃってよかったのかな?
基本は婚約者居る人は婚約者と参加するみたいだしね。
何か問題があって一緒に参加出来ないのならレイファに頼むのも分かるけど。




