悪女は婚約破棄をする?⑨
「それにしても本当に広いね」
「無駄に広くて疲れますよね」
コーネリアちゃんもそう思うんだね。
毎日毎日歩いていると絶対疲れるよ、だから馬車なんてあるんだろうけど。
そんな会話をゆっくりしながらも私たちは庭に辿り着いた。
「わー、綺麗」
コーネリアちゃん自慢の庭は本当に綺麗だった。
色とりどりの花畑、裕福なお嬢様たちがお茶会なんかしてそうな感じの優雅さがある。
こんな綺麗な庭とか本当に凄い! 初めて見た!
「気に入って頂けてよかったです」
「こんな凄いとこ来ちゃうと場違い感が……」
「そんなことありませんよ。 アヤミさんはとても素晴らしい方です」
いや、そんなことはないけど。
コーネリアちゃんってどこかリーフィに似てるとこがあるよね。
特に何故か私を持ち上げようとするとことか、……私って自分で言うのもあれだけど性格とか良くないし、悪いってわけじゃないけど。
「はは……って、あれ?」
コーネリアちゃんの様子に苦笑いしてたけど、遠くの方から知らない美形の男の人と知ってる女の子が一緒に歩いてきた。
知ってるってか、初めてコーネリアちゃんと会った時に居た桃色の子だよね?
「お兄様……」
「え? コーネリアちゃんのお兄さん?」
コーネリアちゃんと揉めてた子とコーネリアちゃんのお兄さんが一緒に居るってどういうことなんだろ?
お兄さんは私と一緒に居るコーネリアちゃんに気付いたのか綺麗な笑顔を浮かべてる。
「コーネリア、帰って居たのかい?」
「はい、先ほど戻りました」
「言ってくれたら迎えに行ったんだけどな。 でも、コーネリアが元気そうで安心したよ」
兄妹仲は良いのかコーネリアちゃんもお兄さんと話しているのはとても楽しそうだ。
……私はそれよりもお兄さんの腕に抱き着いてる桃色の子が気になるんだけどね。
コーネリアちゃんのこと睨んでるみたいだし、……確か、あの信号機くんたちはアイリーンちゃんって呼んでたよね。
「リヒト様ぁ」
「ああ、すまない。 可愛い僕のコーネリアが帰って来てくれて嬉しかったからね」
過保護って聞いてたけど、シスコンなんだね。
私がコーネリアちゃんと一緒に居ることを認めてくれるかちょっと不安かも。
「お兄様、そちらは……」
コーネリアちゃんも流石に同じ学園だし、あんな目にあったんだから覚えてるよね。
その女の子がお兄さんと仲良く歩いてきたらコーネリアちゃんの心中的には嫌な気持ちになるか……。
「ああ、彼女は間違えて入ってしまった家で迷っていたらしい。 門まで馬車で送ろうと思っていたんだが少し庭を見たいとお願いされたから案内してたんだよ」
「……そうなんですね」
こんな広い家なら迷う混んでしまうのもわからなくはないのかな?
……いや、でも家の周りにはフェンスもあったしどうやって迷い込んだの?




