悪女は婚約破棄をする?③
「家には迷惑かけたくないんです……」
喫茶店の準備が終わってから女の子……コーネリアちゃんがやってきたの。
コーネリアちゃんは学園の寮から学園に通ってるみたいなんだけど、昨日の信号機くんと桃色の子のせいで奇妙な目で見られ遠巻きにされてるみたい。
学園の寮に居られなくなって、でも家に帰るのも家族に心配かけてしまうので嫌だからここで居候させて欲しいらしい。
もちろん、その代わりお店の方を手伝ってくれるって言うんだけど。
「知らない人の家に住むなんてご家族が心配するんじゃない?」
「家族には寮に居ることにしてます。 お願いです、何でもやります。 私をここで住まわして下さい」
……こんな美少女に何でもするなんて言われたら普通の男なら悪いこと考えるでしょうね。
あまり面倒事には関わり合いになりたくはないんだけど、悪い子じゃなさそうな感じはするんだよね。
どうしようか迷っているとアルフがギルドから帰って来たのが分かった。
「アヤ姉、ただいま!」
「おかえり、アルフ」
「クロス兄も一緒に帰って来たんだ!」
学園終わりにはいつもすぐに来てたけど、今日はアルフと一緒に来たみたいね。
アルフも強くなったからって子供を一人で帰らせるのは心配だからありがたいよ。
「リストル様……!」
土下座せんばかりに頭を下げていたコーネリアちゃんだけど、クロスの姿にビックリしてる。
学園の子ってことはクロスのことを知ってると思ってたよ。
「リンデルか」
「クロス、コーネリアちゃんのこと知ってるの?」
クロスは有名みたいだから学園の子がクロスを知ってることは多いけど、クロスが学園の子を知ってるってことは珍しいね。
コーネリアちゃんは結構有名なのかな?
「ああ、依頼であったことがある」
「リストル様はここに住んでるんですか?」
「いや、まだ住んでない」
”まだ”ってか住む予定もないけど。
コーネリアちゃんはクロスを見てもキャーキャー騒がないのは好感度高いよ。
クロスはイケメンではあるから一緒に歩いてると嫉妬の籠った目で見られることが多かったからね。
「住む予定ないでしょ」
「リストル様が年上の女性に夢中だとの噂は本当だったんですね」
え、そんな噂が学園で流行ってるの!?
早めにお店を開けようかと思ってたけど、その年上の女性が私ってバレてないよね?
あれぐらいの女の子たちは恋愛が絡むとちょっと厄介だからバレたくないんだけど。
「ああ、俺にはアヤミだけだ」
……そんなハッキリ言われても困るんだけどさ。
私にはクロスの気持ちに答えるなんて無理なんだから。




