悪女は婚約破棄をする?②
……とりあえず、話は全く読めないけど……びしょ濡れの美人さんをどうにかしないとね。
まだ気温は高いって言ってもこのままだと風邪ひいてしまうかもしれないし。
「大丈夫ですか?」
「あ……シフォンの……」
私のことを知っていてくれたのか女の子は少し安心したように息を吐いた。
あっちの子は目が大きくて可愛い系だけど、こっちの子はつり目だけど超美人。
きつめに見える子が小動物とか可愛がってたり、弱いとこを見せたりするとギャップがあっていいよね。
「風よ」
ドライヤーをイメージしてまずは髪の毛から乾かす、私の魔法は弱いから一気に乾かしてあげれないのが申し訳ないけど……。
髪の毛を乾かすと次は服も乾かしていく。
「男の風上にもおけねえ奴だ」
「はっ、後から出しゃばって来やがって、騎士気取りは適当なとこでやってろよ」
「私の為に争うのは止めて!」
ヒロインのようにうるうると瞳を潤ませてレイファと赤髪の男の子の間に入ってくる、桃髪の女の子。
いや、話はよく分かってないけど、別にレイファはあなたの為に争ってるんじゃないんだけどね。
水に濡れた女の子が居たからその子の為に怒ったんだし。
「アイリーンは優しいな」
「アンタの為に争ってねえけど?」
桃色の子にメロメロな赤黄青の男の子たち……信号機くんたちでいっか、信号機くんたちは姫を守る騎士のような自分たち酔いしれてるんだろうか?
イケメンだけど中二病でも発症してるのかな。
「レイファ、もう乾いたからこの子連れて行くよ」
「そうっすね! 頭のおかしな奴らの相手なんて必要ないっす!」
にこにこを私に向かって笑ってるけど、意外とレイファははっきり言うんだよね……意外でもなんでもなかったかも。
銀の女の子に手を差し出すと女の子は手に捕まってくれたのでそのまま立ち上がらせる。
「あ、あの私は……」
行こうとしたレイファの服を掴んだ桃色の女の子は頬を赤らめてレイファを見上げている。
でも、それは止めていた方が……。
レイファは小さくため息をつくと桃色の子の手を払った。
「触んないで、俺はアンタみたいな女が一番嫌いだから」
まさかそんなことを言われるなんて思って居なかったのかぽかんとしたような桃色の子を放っといて私たちは銀の子を連れて行った。
その後、あの場から離れてから銀の子とはさようならをして買い物を続けたけど。
……まさか、昨日の今日でお店に来るなんて思っても居なかったよ。




