内緒話は密室で
クロスが泣き止んだ後は一度解散することになった。
リーフィとキースにも連絡を取らなきゃいけないし、皇子であるレイファが連れの女性を放置してきたらしいのでちゃんと時間を決めて明日集まることになった。
リーフィとキースのことは明日がレイファが連れてきてくれるって話になった。
私たちだと二人を探すだけでも大変だからね。
因みにレイファ呼びは本人の希望である。
ここが夢じゃないから日本に戻れない可能性が高いとレイファが自覚したのでここで生きていく覚悟を決めたらしい。
まあ、帰れる保証なんてどこにもないからその方がいいよね。
「……今日はすまなかった」
アルフはもう寝てるけど、落ち着く為にお風呂に行っていたクロスが部屋に戻って来た。
温まってきたのかほんのりと頬が赤くなっている……って、だから何でクロスがヒロインポジなの?
ラブコメでこんな感じの話見たことあるよ。
「気にしなくていいよ。 誰にだってこんな時はあるだろうしね」
私としてはクロスの年相応な姿が見れてちょっとよかったかも、いつも私より年上っぽいから気にしてたけど今は年下って感じ。
いや、本当に年下なんだけど、……この世界の子供ってどこか大人っぽい子が多いんだよね。
学園でお手伝いしてた時は普通の学生も居るんだなって思ったけどね。
私の隣にクロスが座るとこつんとクロスが私の肩に頭を乗っけた……って、え?
「ありがとう、アヤミが居てくれたからだ」
「……別に私が何かしたわけじゃないよ、レイファのおかげだし」
帝国に来たのは私の我が儘だけどレイファに会えたのもたまたまの偶然、そのレイファが元日本人だったってのも偶然。
偶然に偶然が重なって奇跡が起きただけだから私のおかげってわけじゃない。
レイファが本当はまともだったから出来たことだからお礼を言うならレイファにかな。
「いや、アヤミに出会ってから俺は幸せなことばかりだ」
「そんなこと……」
「俺は今まで助けてくれたジルさんの為だけに生きてきた。 何も感じずただ依頼を終わらせるだけ、アヤミの依頼もシェイルの命令だった」
あー、それは何となく想像ついてたよ。
最強主人公っぽいクロスがこんな依頼を受けるなんてあり得ないと思っていたからね。
戦マスターの命令なら納得出来るよ。
「うん」
「だけど、俺はアヤミを好きになった。 シェイルはアヤミを戦闘ギルドに勧誘しろと言ってきたが俺にはそんな命令聞く理由がないからな」
……戦マスターなら言いそうなことだね。
クロスが無理に私を勧誘してこなくてよかったよ。
ますます戦マスターが苦手になったからやっぱり戦闘ギルドに近づくのは止めておこう、元々私には行く理由はないからいいけど。




