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第三皇子⑩

 


転移も便利だったけど、治癒も便利そうだね。

私は戦う気はなかったから考えていなかったけど。

でも、戦わなくても怪我はすることあるかもしれないから貰っていても損はなかったかもね。


あー、でもバレたら面倒な感じはあるからやっぱいらないかも。




「じゃあ、これも消せるか?」




クロスにとっては帝国に居た記憶は消したい記憶なんでしょうね。

服を脱いだクロスは自身の胸にある印を示した、皇子はまじまじと胸の印を見ている。




「へえ、俺にあったのとちょっと違うな」




皇子と違うのは偽物が出てこないようにする為とか?

みんな一緒だと色々困ることはありそうだし、皇帝の隠し子ですって人もたくさん出てきそうだしね。


皇子がクロスの印を指でなぞったかと思えばシューっと小さな音が聞こえ、微かに煙が出ている。

手のひらを印に当てるとすぐに手を離した、するとそこには印はなくなっていた。




「うわー、こんな感じで消えるんだ」



「最初やった時はマジビビったっすからね!」




治そうとしてるのに変な音がしたり煙が出たりしたらビックリするよね。

私もさっき聞いた時はパパッと消えるのかと思ってたからちょっとドギマギしてたし。



私と皇子がワイワイ話していたがクロスは無くなった印をぺたぺた触って何も言わない。

まだ信じられないのかもしれないね。




「消えた……」



「よかったね、クロス」




クロスで実験したつもりではなかったけどこれでリーフィとキースの奴隷の印も消える。

二人が奴隷から解放されたら好きな場所に行けるよね。


その時、クロスの目からぽろっと涙が零れた。




「クロス兄?」




心配そうにクロスを見つめているアルフ、クロスはハッとしたように目を擦っている。

クロスが生まれてきてからどんな生活してきて、どんなに苦労してきたのかは私には分からない。


私は普通の両親の元に生まれて普通に暮らしてきたから、訳知り顔で”今まで頑張ったね”とかそんな事は言えないし言いたくない。

私にはクロスの今までの苦労が分からないから。




「……アヤミ?」




私は立ち上がるとぎゅっとクロスの頭を抱き締めた。

クロスは驚いた表情をしてたけど私の腰に手を回す、小さくクロスの肩が震えてるのは見ないことにした。


私はクロスには何も言えないから何も言わない。

クロスが泣いたとしてもこうしてると見えないから。



お疲れ様、クロス。



 

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